Vancourver Journal 2011

Vol03. ウェルカムパーティー

19th Apr,2011

 2011年4月19日(火)。朝から自転車でギャラリーへ。写真は今回の額装を全てやってくれたトッド。しかも無償でやってもらった。なんてことだ。この人の仕事は最高。自分の作品を額装してもらうと、いつも新しい発見がある。今回も色んなことを教わった。

 ソーラー0円ハウスの図面。これは2001年に、仕事もない、未来もない、金も無い22歳の時に描いた作品。これは来年、センターAに寄付する予定。ギブ&ギブ&ギブである。態度経済の根源は、このセンターAで、原さんから学んだのである。

レーモン・ルーセルの「アフリカの印象」の挿絵100枚ボックスセット。そういえば昔、白水社の人に見せたことがある。さすがに、僕の挿絵を入れて出版したほうがいいという僕の妄想まじりの企画には全く見向きもされなかった。ここは、フィリップ・K・ディックが住んでいた街。だからどうかは知らないが、レーモンルーセルに大きな影響を受けた人が多い。そういう場所では、この作品も大きな意味を持ってくる。日本では無視、だけどバンクーバーでは好意的に受け入れてくれる。別に海外だからと言っているのではない。僕の場合、日本では作家としての活動はとても受け入れられている。国民性や場所の持つ固有性に合わせて、自分自身をギアチェンジしていくことがこれから生きのびるためには、というか昔から必要なのだと思う。

空いた時間を利用して、バンクーバーの街を散歩する。人に会うことが主なので、いつも散策している時間がない。近くをうろうろとする。変なボタン屋を見つけたので、たくさん購入。お土産に。

その後、古本屋へ。この店、無茶苦茶本が乱雑に積み上がっているが、興味深い本がたくさんある。

センターAがある通りは、たくさんのホームレスが通りを徘徊している。バンクーバーの持つ問題が凝縮されているような場所である。みな、劣化したクラックという麻薬を摂取している。しかし、よく見ていると、ただの絶望的な人々ばかりが生きているのでもない。みな笑って、コミュニティを作っており、一瞬幸福のようにも見える。センターAというギャラリーには、彼らもたくさん訪れ、関わり合っている。とても不思議な自由さが充満した地域なのだ。

公園へ。ちょっと歩くと、このような静かな風景が飛び込んでくる。ここでちょっと一服。

その後、原さんと一緒にコレクターの一人であるジャックとマリヨン夫妻の家へ。僕のウェルカムパーティーを開いていてくれるという。バウハウス風の古いけれども洒落たアパートメントへ。集まってくれたのは、僕の作品を買ってくれたことのあるコレクターの人たち。とにかく彼らは僕を応援してくれている。僕は別にアートマーケットで活動しているようなアーティストでもない。別に僕の絵の価値が今後上がっていくわけでもない。でも投資してくれているのである。何の投資なのか。僕はそのことをいつも考える。だからこそ、誰もやったことのない仕事をいつかしたいし、しなければいけない。みんな、不可知な僕の今後の活動に対して共感してくれている。作品というよりも人間に対して投資してくれている。しかし、それはとても緊張する。僕はもっと自分が気付いていない力を出していかないと。彼らを驚かせ、楽しくなっちゃうような仕事ができているか。この緊張感こそが、とてもよいバロメータになっている。

前菜。

こちらがマリヨン。今日は彼女お手製のフルコース。

夕日が綺麗。

無茶苦茶美味しかった。

デザートまで。

0円ハウス -Kyohei Sakaguchi-