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Journal -坂口恭平の日々の記録-

2008年11月23日(日)~12月2日(火)

MONTREAL JOURNAL

2008年11月22日(土)

午前7時起床。リトルモア「真夜中」用のドローイングに取り掛かる。ギリギリで完成。データを送って、午前11時出発。途中、上野駅で材料調達し、成田空港へ。モントリオールは雪、しかもマイナス12度らしい。検討つかず、一応帽子と手袋を買ったが、もっと寒いんだろう。Montreal Jornal 書く予定です。

2008年11月21日(金)

午前7時起床。午前中、原稿。午後、上智大学のアンジェラさんと電話で話す。ハザマとも。その後、外出し新宿で材料調達。モントリオールの仕事がまだどうなるか分からない状態で暗中模索。うまくいくのか分からんが、いつものように当たって砕けろでいくことにした。いつもこういう時は、最終的にこうなればいいなという目標と言うか、イメージのようなものはあるのだが、それもやはり現場に行ってみないと分からない。ナイロビの時なんか、完全にノープランだった。それでも、毎回仕事を終えて帰ってきているから不思議なもんである。やる前は、こりゃやばいかなと、緊張状態になるのだが、それが頂点に達すると、そこからなぜかアイデアが浮かんで来る。こんなのもう嫌だと思うこともあるが、終わると、それがまたやりたいに変わっている。こうなったらもう諦めよう。こういうことが僕は好きなのだ。そのことによってしか生み出せないのかもしれない。それならそれでやってみようじゃないか。

2008年11月20日(木)

午前7時起床。午前中、原稿。その後、カレーが食べたくなり外出し駅前の「いんでぃ庵」というカレー屋へ。チキンカレーを注文。いい匂い。出てきたカレーは何か見覚えがあるなと思ったら、下北の茄子おやじと同じような盛りつけ。なんか関係があるのだろうか。辛くて、しっかりした味で僕はこっちの方が好みかも。食後、ナジャで珈琲のんで一服して、その後、立体読書のためのドローイング。夏目漱石の「印象」。こりゃ本当に変な話である。しかし、空間はしっかりと存在している。夕方まで取り掛かる。夜は、豚肉のネギソース炒め。美味。

2008年11月19日(水)

午前6時起床。原稿。その後、中野の島忠に向かい、モントリオール展示用の材料を物色し、色々と買って来る。その後、吉祥寺にも寄り旅行の準備。帰ってきたら、柳宗理のフライパンが届いていたので、熱したり、油を塗ったりする。それで、豚ひき肉と国分寺ししとうを使ってチャーハンを作る。その後、原稿。太田出版の第二章が書き終わり、送信する。ローマに住んでいるイタリア人学生から、かなり綿密な質問状が届く。全部英語で書けるんだろうか。鴨長明、黒川紀章などの名前が見える。0円ハウスを向こうで買ってくれたのだそうだ。気合入っているなあ。頑張って質問に答えることにした。その後、文房具屋でケント紙を買ってきて、構図を考える。夕食は、きんぴらサツマイモ、さばのみりん干し、春菊のおひたし。美味。

2008年11月18日(火)

午前8時起床。原稿を書こうとするが、途中でストップ。こういう時はどうするか。いつもその時の処理について考える。という風に客観的に考え直す。とりあえず僕は三時間という単位で時間を区切る。その時間までとにかく出来なかろうが、出来ようが、進めてみる。出来上がらなくても、三時間が過ぎたところでピタッと作業を停止して、コーヒー飲んだり、ギターを弾いたりする。進むときは、二時間半で終わったりするから不思議である。そして、休憩後はまた全く違う仕事を三時間する。出来ないものをゴリゴリと押して進ませても、大抵うまくいかない。でも、うまくいかないのは嫌だから、なかなか離れられない。諦めるような気分になりたくないからだ。だから、時間というなんの感情の無い世界で区切る。作業をしながら、進まないで何時間も考えている風にぼうっとするよりかは、チャンネルを変えるように、ぼうっと杉浦茂「猿飛佐助」なんかを読む。意識してそれを実行したら、意外に無駄には終わらないものだ。そして、ついついこんなことを書くのは進んでいないからだ。昼はたらこパスタを作り、残りは夜、フーがたらこコロッケ作った。

2008年11月17日(月)

午前7時起床。原稿を書き進める。自分が考えていたテーマが少しずつ変化しているような気がする。ここが面白いところなのだが、難しくもある。お昼過ぎまで書いて20枚。7万字を超えてきた。少し混沌としてきたので、その後は書いてきたものを手直しする。Maichael Mayer「IMMER」が届く。2を持っていたが、1も気になったので購入。微動しているような音楽。変化しないものを提示するというのは非常に勇気のあることだ。光文社から「本が好き」が届く。食についての「偶然食」というエッセイを書いている。夕方からは立体読書のためのスケッチ。

2008年11月16日(日)

午前7時起床。午前中、原稿。年内に大物が二つごろんと転がっている。これをしっかりと仕上げられたら嬉しいのだが、なかなか大変でもある。少しずつちびちび進めていく。これはモントリオールでもやらないかんかな。午後は来月のドローイング展のためのアイデアを練る。あと二枚ぐらい描きたいと思っているが、どうなるか。新しい立体読書も一枚描きたい。コピー用紙にスケッチなど。リトルモアのドローイングをちょっと手直しして、ポストに投函する。そして、午後6時過ぎに外出。東高円寺駅で従兄弟のソウ19歳と待ち合わせ。二人で、UFOCLUBへ行く。今日は、ドイツのバンドCANのボーカルだった、ダモ鈴木のライブ。初ダモ。一緒に演奏するのは、灰野敬二と山本精一。7時開演で、一時間棒立ちで待って、8時からスタート。優しい挨拶の後、すぐ演奏開始で、そのまま一時間ぶっつづけ。不協和音がひたすら鳴り響く、ダモさん、念仏のように永遠に休まずに唱え続ける。どこか異国のライブハウスに知らずに入ってしまったかのような異質感。ソウと放心。終わると、普通のきさくなオジさんのように、控え室から出てきて、ありがとうと言いながら歩くダモさん。酸欠になるからと15分休憩。その後、もう1セット。灰野、山本両氏もつられてシャウト。演奏後、客席を練り歩き、ありがとうと握手し続けていた。その後、出口でも観客を逆出待ち。記念撮影も。今もドイツに住んでいるのだという。完全に独自の方法論で世界中飛び回って歌い続けている。全く違うことをやり続けてもいいのだというエネルギーにこちらも気合入る。その後、一蔵で久々に醤油つけめんを食べ、亮太も加わり、四丁目カフェにてダブルエスプレッソを飲んで帰ってくる。

2008年11月15日(土)

午前5時に家に帰ってきて寝る。昼前に起きて、coyoteゲラチェック後、送信。モントリオールの航空券の訂正を依頼。ガスボンベは持っていけないらしい。当たり前か。電気系統がうまくいくのか、現場でしか分からないので少し心配だが、どうにかなるだろう。なってきたし。昼過ぎから、エココロ四次元ガーデン第12回目の原稿。二時間かけて仕上げる。写真と一緒に送信。その後、リトルモアの雑誌「真夜中」のためのドローイング。官製はがき一枚分の絵なのだが、意外と大変だった。夕食に肉豆腐と秋刀魚の干物を食べて後も作業を続行し、午後10時頃完成。面白いものが出来上がったと思う。今日は仕事をし続ける。アオをお風呂に入れて、寝る前に「パトレイバー2」を観る。パトレイバーはちっとも出てこないが、凄かった。この中には深い空間が描かれているなあと思っていたら、この映画のレイアウト集まで出ているのだそうだ。見えない所の空間も考えて作り上げる。そうすることで、物事は人に立体的に伝わっていく。なぜ、こんなに立体に興味を抱くのか。そんなことを考える。僕がいつもある作品や、音楽や、風景に刺激を受ける時にはいつも立体的な感覚を伴うからではないか。あの瞬間だけ、ふわっと目の前の空間が広がっていくのだ。鈴木さんと会話していく中でもそれを感じたし、江戸川乱歩の小説を読んだ時もそうだ。自分がいつも体験している空間だけが世界ではないのだということを具体的に感じたときに生じる立体感。そこには意味を超えた自由な感覚が地に足をつけているような気がする。

2008年11月14日(金)

午前7時起床。起きて、準備してすぐ外出。お茶の水の順天堂病院へ。アオの定期検診。小児外科の山高医師と小児科の東海林医師に診てもらう。超音波の検査も今のところ何の問題も無いようだ。昨日から、なんだか少しずつ寝返りを打ちそうな素振りも見せていて順調。産まれたばかりの時は低血糖が続き、心配されたが、そんなことを忘れさせるほどの最近のアオである。今日は意外に早めに終わり、その後、アテネフランセについつい寄って地下のカフェを覗いて帰ってくる。国立駅近くの萬笑にて塩ラーメンを食べて、帰宅する。東北新社の大熊くんからまた下北沢のCity Country Cityでライブやろうよとの依頼。受ける。1月24日の土曜日にやる予定。今度は新曲を作っていこう。来年も1月からなにやら不思議な仕事が入ってきている。モントリオールのHOURという大きな無料新聞からインタビューの依頼。こちらも盛り上げていきたい。バッファロー・スプリングフィールドのセカンドアルバム「AGAIN」を聴くが、これは凄い。サイケではあるのだが、そこからするっと抜け出ている。Shuggie Otisが向かおうとした方向とも通じる所があるのかもしれない。それでいてペットサウンズのようでもある。67年なのでサージェントペッパーズとも一緒なのか。今聴くと本当に新鮮だ。その後、午後4時頃外出。恵比寿駅まで。リキッドルームの上のカフェでアサコと待ち合わせ。久しぶりにデジオの収録。第三回目。居酒屋トーク。一時間半ほど楽しみ、そのまま下のリキッドルームへ。今日は犬式というバンドのライブ。このバンドは昔、吉祥寺のスターパインズカフェでみた時凄かったのだが本当に久々に見に行く。力んでいるように見えたが、音は良かった。もう少しシンプルな編成でもう一回見たい。その後、駅近くの蕎麦屋できつねうどんと麦酒を飲みながらまた二人で話して、多少酔っ払って家に帰ろうとしたが、国分寺で席が空いたので、座ってしまったら、起きたら高尾にいた。電車も終わっていた。諦めて、ただ甲州街道を歩き続いたら、八王子に着いたので満喫で二時間ガンツを読んで始発で帰ってきた。おいおい。

2008年11月13日(木)

午前7時起床。午前中、原稿。午前11時に外出。川崎駅から歩いて多摩川へcoyote最新号の現代の生業に登場してもらっているHさんに本を渡しにいく。この連載の当初、続けられるのかどうか分からんまま勢いで始めたのだが、どうにか今の所続いてくれている。次の第四回も原稿とドローイングはもう既に送った。第五回目にはなんだかトンでもない稼ぎを叩き出しているマスターと会えそうだ。って、どうなるかいつもわかりませんが。Hさんと最近の話と、さらにまた色々と質問をしたらそれも快く答えてくれる。こんな人なかなかいない。やはりこの仕事は、誤解されることも多く、やはりフザケンナなんて言われることも度々ある。しかし、僕の頭の中にはこの仕事は未来的なモノであるという確信があるので、こっちだって真剣であると伝える。そこで理解し合う瞬間がたまらない。ジャングルの奥地に調査に行くのとは違うのだと思う。自分たちと同じ空間にあるということが何かを僕に感じさせる。Hさんと二時間ほど話し、帰ってくる。coyoteから現代の生業のゲラがFAXで。チェック。立体読書のことで調べているうちにセザンヌのことが気になってきた。僕はこれまでほとんど通過していなかった。吉田秀和氏の「セザンヌは何を描いたか」という本が家の前の図書館にあったので借りてみたら、これが非常に興味深かった。そして、それは僕が立体読書をやりながら、0円ハウスをやりながら、常に考えていたこととも共通点が多く。色々勉強になる。こりゃ美術史も通らないわけにはいかないと思った。セザンヌが二次元のキャンバスに現そうとした、空間というものは、ただ目に見えている三次元の空間それ自体では無い。僕たちが常日頃感じ取っているはずの空間を描こうとしたのではないか。それは、鑑賞者の心の動きも影響するし、アルコール濃度も、天候も、人間の密集度も、街灯の明るさも、三次元の空間に作用してくる。それは三次元の世界プラス時間で四次元であるというような単純な数え方ではなくなるはずである。三次元の世界からいきなり多次元にジャンプするのではないか。数学も科学も全くできない僕がこう言っても訳は分からんが、そういうことを伝えるにはでは、どうしたらいいのか。そんなことを考えている。今年出た本には、そんな空気が少しでも染み込むようにやったつもりだ。でもまだまだだと思うけど。立体読書にもその芽が出てきてはいると思う。そうやって捉え直してみると、一見まるで関係のないようなことをしているように見える各々の仕事が少しだけ繋がりそうな気がするのである。しかし、ステレオグラムのようにちょっとでも気が反れると、すぐにまた平面的な思考に戻ってしまう。とにかく継続しかない。

2008年11月12日(水)

午前8時起床。午前中、原稿。昨日の続き。さらに8枚追加。昨日の日記を見たトミーがすぐ、THE POP GROUPの元メンバーが解散後に始めたMAXIMUM JOYのSerching for a Feelingという曲を送ってくれた。感謝。ざるそばを家で食べて、午後1時過ぎに外出。新大久保で降りて、戸山公園へ。以前、東新宿で会った、非常に興味深いオジさんが戸山公園に住んでいると言っていたので会いに行くが、おそらく仕事に出ているのだろう、会えなかった。この人は新宿から中目黒までアルミ缶拾いに台車を引いていた。後日もう一度行ってみよう。午後5時に高田馬場で青山出版社の村上女史と待ち合わせ。近くのルノアールにて話す。隅田川のエジソン、引き続き頑張りましょうと士気を高める。来年、エジソンは楽しみな動きも待っているので、長く長くやっていこう。その後、バドワイザー瓶を飲みながら色んな世間話。こうやって、宣伝を大々的にやっているわけでもないのに、本が出て半年が過ぎても反応があったり、動きが出てくるというのは本当に嬉しいことだし、ちゃんと自分の伝えたいことをやり通せばなんとかなるという事実は非常に勇気づけられる。まあ頑張っていきましょう。女史が気合たっぷりなので大丈夫だろう。その後、帰宅。行きと帰りの電車の中では、リブロポートから出ていた川添登氏による「シリーズ民間日本学者9 今和次郎」を読んでいた。これは昔から読んでいたのだが、久々に読み返したら今までと全然読む所が変わっていて非常に興味深かった。これまではやはり吉田謙吉との考現学、銀座の調査や、深川の調査などの項目を好んで読んでいたのだが、今日は考現学に至る前、つまり34歳に出版した処女作「日本の民家」の頃、さらには29歳の処女論文「都市改造の根本義」の頃の考え方が気になった。そしてむしろそちらの方が実は重要なのではないかと思うようになった。考現学に至るまでの思考の動きをこれは一つ調べる必要がありそうだ。かなり時代の先をいった現代的な視点で文章を書いている。当時の都市というものがただ単に地表に建築を乗っけているだけに過ぎないことを指摘、それでは貧民街と土地を占有していつ人間たちが住む場所という二極化が進んでしまうと書いた。そこで、白紙の土地というものにただ建築を作るのではなく、その場所ごとにそれぞれ対応し、変化させていく必要があると。そういうところから、考現学が生まれているのである。だから彼はただ無秩序に立ち続ける建築の横で、大都市の中でも人間が必死に根源的な動きをしようとしているのだということを、伝えたかったんだと思う。それは僕が0円ハウスを見ていく中で常に感じていることでもある。民家採集の時も、いわゆる文化財的な民家には一切興味を持たず、普通の道端に建っている無名の家をスケッチしている。それは体系的に調査するのではなく、旅のように直感に従って採集している。彼はやはり、建築よりも先に地面、人の動きから空間が出来上がっていることを誰よりも感じていたのだろう。しかし、それが現代になっても同じように地表に建築がのっかっているだけという状況は変わらない。僕はやはりそこをもう一歩進ませていきたいものだと思う。

2008年11月11日(火)

午前8時起床。午前中、音楽。最近またTHE POP GROUPやらTHE SLITSが再燃してきている。ファンクではないファンク的なもの。そこに0円ハウスとの関連性を感じている。が、そんなこと言っても誰にも伝わらないので、どうやって説明しようか考える。そのファンク的なことをアコースティックギターで出来ないか考える。この前踊りながら司会をしたのだが、やはりそれが気になっている。そんな訳の分からない二つがぶつかるのは、遠い先の話になるんだろう。でも、絶対に繋がっているように見えるのはなぜだろう。不思議なもんだ。でも、よく考えるといつもそうだ。僕の場合。全く繋がらなそうな相反する二つのことを同時に考えていると、次の作品、思考のアイデアが登場してくる。TOKYO0円ハウス0円生活なんて、0円ハウスとビジネス書とデュシャンのことを同時に考えていた。マイルス自叙伝の下巻も見返す。そこには、そのような思考についての考察やヒントが一杯詰まっている。人が音楽や文章やドローイングに触れた時、フワッと広がりのある空間を感じるものには、多焦点の視線が含まれている。おそらくそれが人の思考の自然な姿なはずである。周波数をカットしてはならない。ギターを弾きながら、そんなことを考える。寒い季節になってきたので反転してロックステディとかかけてたら、アオが反応して踊ってた。Carlton and the Shoesの「Give Me Little More」これいいです。最近またシンプルなものへの志向が高まっている。聞きながら原稿。今日も大分進んだ。18枚書きあげる。夕食を食べた後、午後7時半外出し、上野駅へ。昨日教えてもらったダンボールハウスに会いにいく。北上野にそれはあった。ミニマムかつ暖かい素晴らしい家であった。その後、午後11時過ぎに国立へ帰ってくる。ツタヤが半額なので、プリンス、マイルス、JBなどを借りてくる。夜、さらに原稿を進める。

2008年11月10日(月)

午前7時起床。午前中、朝食後アオと戯れて、三人で外出。イタリア小僧でパスタを食し、珈琲飲んで、電車に乗って秋葉原へ。モントリオールの展示のための買物。ソーラーパネルを購入。コンデンサーなども購入。その後、浅草へ向かい、鈴木さんの家へ。無双を一本買って持っていく。宴会。上の堤防では高校生が暴れ回っている。芋焼酎をストレートで飲みながら、まだ細かい取材をさせてもらう。その会話の中で、段ボールハウスの話になり、段ボールハウスは寒くないという話になり、さらに上野に鈴木サンが認める、そして憧れる、ザ・ベスト・オブ・段ボールハウスがあるというので場所を教えてもらい、その後、上野駅から歩いてロケハン。まだ家は組み立てられていなかったので、今週、行ってみよう。どうやら、何年も同じ段ボールを使い続けて、とにかくシンプルで美しさすら感じられる家なのだそうだ。とにかく最近、また取材を開始して、さらに新しい話が出てきている。次の本でどうにかまとめていきたいと思う。今年一杯はとにかく取材をどんどんやっていこうと思う。夜、家に帰ってくる。土鍋で水菜鍋を作る。納豆のチヂミも食べる。食後、「イカとクジラ」を観る。これは凄いかもしれない。人物の描写をここまで徹底して行うと、本当に立体的に空間的に鑑賞者は感じることができるのだ。しかも、内容とは一見関係無さそうな、風景の描写がさらにその空間を引き立てる。やはりこうでないと。多焦点の映画だった。最後にかかる音楽がLOU REEDで、聞いたことが無い曲で、それがとても素晴らしかった。STREET HASSLEという曲で、僕はLOU REEDのこの曲が入っているアルバムは全くノーマークだった。ジャケットは無茶苦茶かっこいいのに。なんで聞かなかったんだろう。本当に世の中は知らないことだらけだ。それはとても大変だが嬉しいことだ。TOKYO CULTURE CULTUREの植田さんと電話で話す。来年の1月年明け早々に鈴木さんとまたトークショー、0円会議のようなものをすることになりそうだ。色んな人が集まって議論出来ればいいなと思う。詳細は後日発表。

2008年11月9日(日)

午前7時起床。昨日のドローイングの手直し。朝食を食べてアオとしばし戯れる。午前11時に外出。立川駅の本屋で古谷実のヒメアノ~ル第一巻を購入し、南武線に乗り込み読みながら川崎へ。こうやって電車の中だけはなぜか読書が捗るのはなぜなのだろうか。そんな時の各駅停車ってたまらない。ヒメアノ~ル、ほぼシガテラとデジャブのような同じ構造なのに、なぜかぐいぐい引きこまれていく。南武線で一時間かかるのに、速攻で読み終わってしまい、その後、色川武大「狂人日記」を読みながら、気付いたら寝てた。久々に山手線を三周もしてた昔を思い出した。川崎で降りて、多摩川六郷橋へ。現代の生業第二回に登場してもらったオジさんへcoyoteを持っていく。取材してその後、掲載誌を持ってきたのは兄さんが初めてだよ、と言っていた。皆忙しいんでしょうね、と言っていたので、そうです。僕は忙しくないです。24時間やりたい放題ですと言った。持っていった芋焼酎天孫降臨を開けて、オジさんの家の中で乾杯。庭になっている甘柿を食べながら。なんでこの甘柿こんなに甘いのかと尋ねると、今、スーパーで売っている柿は渋柿の渋みを抜いているものなんだそうだ。本当なのか。東京のド真ん中でこんなに田園生活を送っていることを人が知ったらちょっと幸せになるんじゃなかろうかと思う。その後、なぜか話は飛躍し、酔っ払っているからだが、二人で議論が始まった。年寄りと若造の話から、マンダラ、なぜか南方熊楠、そして日蓮宗、訳の分からない所までいった。すると、「君は宗教家になるだろう」となぜか予言された。そのつもりはないです。と言ったが、その後、色々と興味深い話を聞き、こちらも考えることがあった。この人はとんでもないのかもしれん。もしくは最高のペテン師かもしれん。石油ストーブがガンガンで、蛍光灯がはちきれんばかりに照っている、多摩川沿いの掘建小屋で、なぜ掘建小屋と言うのかという語源の話になり、その話も非常に興味深く、なんだかまだまだ摩訶不思議は消えてませんよ、クマグスさん、と思いながら、電車に乗って帰った。気付いたら六時間も酒を飲んでいた。家に帰ってきて、マグロの漬け丼と、大根と豚肉のあんかけ、を食し、今からアオをお風呂に入れて寝よう。

2008年11月8日(土)

午前6時過ぎに国立に到着。シャワーを浴びて、もう一度寝る。十時頃起きて、今日が〆切なので0泊3日の原稿。しかし、今回は非常に面白かったのでちゃんと進む。1500字昼過ぎに完成。画像と一緒に送信。現代の生業の方の直しも行う。それも終わり、送信。その後、現代の生業第四回用のドローイング。色々まとまってきたので集中的に仕事を進める。ドローイング4点も完成。梱包して明日送れるようにする。その後、モントリオールの展覧会のために巨大出力用のデータを制作。犬の家と料亭の家の二枚の写真。さらに必要なものを書き記し、ピエールに送信。11月22日の出発までこれは結構ハードなスケジュールである。帰ってきても、また二ヶ月後にはまたカナダのウィニペグでの展覧会が待っている。カナダに住むか? しかし、僕はたぶん日本にしか住めない。リトルモア用のドローイングを考える。前から気になっていた狂人日記の事を描こうかな。扶桑社の建築本のためのドローイング原画を送付。今日は引き蘢って仕事ばかりをしている。夕食は、鯖のみぞれあんかけ、大根の葉っぱの柚子味噌炒め、カボチャの煮物、小松菜ともやしとシラスのおひたし、と健康的な食事。黒糖焼酎「朝日」をロックで飲む。

2008年11月7日(金)

寝て、起きたら仙台。そこから宝が眠っているという島までは港まで一時間、そこから船で一時間で到着。なんだか異様な島であった。が、その中の長老である90歳のおばあちゃんに遭遇し、今回島に来た理由を話すと、宝についてのレクチャーを受ける。ここ、現代の日本ですよね?? しかし、レクチャーは続き、宝の在処をとりあえず二箇所教えてもらう。一体どうなったのか? 来月のcoyoteをご覧下さい。夜、仙台に帰ってきて、友人と居酒屋で三時間ほど飲んでもちろん夜行バスで帰ってくる。モントリオールから連絡に携帯メールで返す。モントリオールはテレビショッピング&住宅展示場のリミックスをすることでほぼ合意した。つまり、僕が自分でモントリオールにあるゴミで0円ハウスを制作し、ソーラー発電で、隅田川のSさんからもらった電化製品をバッテリーによって稼働させ、コンロでお茶を沸かし、お茶を飲ませたりしながら、いかにこの家が未来的であるかをテレビショッピング風に演説し、その場で住宅展示場のように、即売するというアイデア。一万ドルで売ることを決める。売れないかもしれんが売れたらまじやばい。

2008年11月6日(木)

午前7時起床。原稿。昨日の取材が発奮させてくれキーボードカンカン打つ。午後12時まで書き続ける。リトルモアの加藤君&田中さんから電話があり、新しく始まった雑誌「真夜中」の執筆依頼。もちろん受ける。面白そうな企画である。その後、ザッパ聴く。午後一時ごろ外出し、西荻窪へ。午後二時に小学館の村山さんと待ち合わせ。久しぶりに「それいゆ」に行って打ち合わせ。というか、とにかく色々と話す。子供向けの秘密基地的なものを何かできないかを提案。一つ面白そうなアイデアが出てきた。コロコロコミックの話などを聞きながら興味を持つ。また違う方面の仕事ができるかもしれない。しかし、話を聞いていると子供向けにはまたいつもとは別の難しさもあるようだ。面白い打ち合わせだった。その後、ヨドバシ吉祥寺店に行き買物を済ませて、家に帰ってきて原稿の続き。完全にスイッチが入ってくれた。午後7時頃に第一章分の一万字を書き上げる。久々の20枚オーバー。太田出版北尾さんに送信。即返信。概ねオッケーとの事。少しずつ進ませていこう。この企画もなかなか原稿が進まず苦しんだが、どうやらそこからは少し抜け出てきたようだ。夜、コヨーテの佐々木さんから電話。現代の生業についてと0泊3日についても。現代の生業の原稿を少し手直しする。夕食は豚の生姜焼き。フー母が久々に来訪。で、僕はと言えば、今から0泊3日の取材で今回は東北へ。宮城県の島にあるという宝島へ向かう。見つかるかな。

2008年11月5日(水)

午前中、メールを送り返す。その後、レオナルド・ダ・ヴィンチを読了。レオナルドの空間に対する興味は、僕なんか到底及びもしないのは承知で、凄く共感。昼までとにかくギターを弾き続ける。祭りの音を菅ちゃんから見せてもらい、その日本音楽の在り方に希望を感じる。これは色々と昔の音楽をチェックした方が面白いかもしれない。午後1時外出。外苑前まで。TWIGGYでクミちゃんにいつものように髪を切ってもらう。そこでVICTOR & ROLFという二人組のファッションデザイナーの本が置いてあって、それを見ると無茶苦茶かっこいい。ファッションの事は全く分かりませんが、この服というか本が素晴らしかった。興奮したまま髪を切ってもらう。その後、浅草へ行き、現代の生業の第一回目に登場してくれた佐々木(S)さんと会う。彼は、貴金属と電化製品を拾う天才なので、今度モントリオールで使うための12ボルト用の電化製品が欲しいと依頼すると、すぐに小型テレビ&ラジオ、12ボルトで動くDVD&ビデオデッキ、さらにそれとバッテリーを接続するブースター、コードなどフル装備で持ってきてくれた。こんなことが現代の東京で簡単にできるのは彼だけだと思う。鈴木サンも本当にあいつは天才だと感心するほどの若手のホープである。その後、さらに話す。都市狩猟採集生活と題し、進めている企画についても色々と教えてくれた。まるで戦後の闇市や、アフリカで遊んでいるみたいだ。そして家に帰ってくる。夕食は鰯の蒲焼きどんぶり。麦酒。光文社の山川さんからメール。早速送っていた企画が通過したとの事。仕事はどんどん進んでいるが、僕の頭はまだ追いついてないかもしれない。しかし、体はしっかりと動いているので大丈夫かな。ドローイング展のためのDMのイメージを作って森岡さんに送信。トップページにも上げておいた。12月20日に大竹昭子さんと行われるカタリココというトークショーの予約も開始しているようだ。是非是非!森岡書店は建物も内装も置いてる本もチャバイです。モントリオールの展覧会について面白いアイデアが出てきている。ここ二、三ヶ月考えても考えてもなかなか出なかったのに。だから諦めてはいけない。と戒める。どんなに浮かばなくてもそこに微量でも自分が気になる事が残っているなら簡単に忘れてはいかん。油断してるとこういう大事なことをすぐ失念する。先日のミネちゃんの結婚パーティーでの狂人ダンスがいい起爆剤になっている。なのでその御礼の電話をした。マイクスタンドは折るわ、進行なのにほとんど司会的な動きはせずに、ひたすらマイケルジャクソンとJBとクティの間の変な人みたいなダンスを繰り広げながら、DJの曲のほとんどに歌をつけるという荒業を行っていたので、さすがに困惑されたかと思ったが、ミネちゃんは心が広く、楽しんでくれたとのこと。やはりエンターテイメントへの思いは募る。完全に無意味で完全に真空の、ただ人間が体を動かし、歌い、踊る、そんな0円パフォーマンスをやはり自分はやりたいのかもしれないと、最近は強く思う。

2008年11月4日(火)

午後から外出。品川へ向かう。神さんと打ち合わせ。その後、新宿で杉ちゃんに教えてもらったザッパのONE SIZE FITS ALLを購入。夕方、幡ヶ谷へ。ハザマの家へ。頼まれていたドローイングを手渡す。そして、もちろん桔梗へ。塩ざるらーめん大盛、相変わらず絶品。帰りながら、ドローイング集を作るのはどうかなと考えていた。アフリカの印象を読んだ後に発作的に百枚描いた。あれを持って昔、売り込みをしたが面白いほど断られ続けた。で、仕方ないからとりあえず寝かせて置くことにしたのだが、最近、その辺の枝が知らずに伸びてきているような気がする。あれは一体何の熱だったのだろうか。

2008年11月3日(月)

午前中はゆっくりして、午後一仕事して、午後4時に外出。原宿駅へ。表参道にあるGYREへ。スタジオボイス、スペクテイターのアートディレクションをしているミネちゃんとスミちゃんの結婚パーティー。有り得ないことに僕が司会をすることに。久々に皆と会う。進行の構成案を貰う。「恭平フリースタイル」という謎の項目多し。なかなか主役の二人が到着しないので、間を繋いで、ということで、まさかというか、やっぱりというか、スイッチ・オン・マイクロフォン。Dj Keiちゃんが色々と凄い曲を掛けてくれたので、こちらもついつい乗ってしまう。二人は、シミちゃんがデザインした、ぶちかっこいいスーツとドレス。完全にハメを外しましたが、素晴らしいパーティーでした。おめでとう。途中でかかっていた曲が気になったが、詳細分からず。大阪の若いバンドということだけ聞いた。祭サウンド。曲名その後、杉ちゃんら十人ぐらいとメキシコ料理屋デル・アミーゴへ。料理全部旨かった。テキーラが入っている容器に魅せられてしまい、テキーラショット三杯。杉氏と音楽などについてよく話す。最近は元ガソリンスタンドな場所に事務所を移したらしい。無茶苦茶気になる。その後、BONOBOへ行き三次会参加。さらにテキーラショットを三杯ほど追加注文。完成し、終電で帰ってくるも、やはり爆睡し、乗り過ごし、タクシーにて帰宅。

2008年11月2日(日)

午前7時起床。原稿の手直しをして送信。朝食後、外出。中野駅へ。ドラマーの菅ちゃんとピアノの上山くんベースの大村くんと待ち合わせして、サンプラザ中野地下にあるスタジオでセッション。菅ちゃんが最近、色んなところへ出掛けていって日本の祭りのリズムを採集しており、それを元に曲を作ってみようという試み。久々のスタジオ。二時間やる。なんだかまだ形はできてないが、方向性は感じれた。二曲それらしきものができる。終わって珈琲飲みながら話し合う。エレキギターを弾いたら感触が良かったので、またMTRで録音でもしてみようかと考える。その後、皆と別れて中野駅から高円寺まで何かないか探すために散策。帰ってきて、原稿。その後、鳥だんご鍋の仕込み。夜、タンゴがやってきて皆で鍋を食べる。

2008年11月1日(土)

午前7時起床。朝食後、外出。お茶の水の順天堂病院まで。アオの超音波検査。終了後、一階のスタバでサンドウィッチを食べる。光が気持ちいい。その後、国立へ戻り、今日からやっている天下一というお祭りの露店を散策。葡萄パンや山芋たこ焼き、くるみタルトなどを食す。麦酒。帰ってきて原稿。現代の生業。5000字。夜までかかるが無事終了。

0円ハウス -Kyohei Sakaguchi-