House > Journal > Archives > 2006年 > 8月

Journal -坂口恭平の毎日-

2006年8月31日(木)

昼から作業。途中、ヤマト印刷にいって質問と依頼。データ作り。完了。後は、書類に記載して送付すればよい。バンクーバーに出発する前の9月中旬頃に印刷が出来上がるように考えている。そして、帰ってきたら売り込みを開始する。っていうか本屋に本当に置けるのか?分かりません。しかも、1000部刷ろうとしている。ちょっとやり過ぎか?でもまぁよく分からんが、今回は今までとは違いスラスラ進んでいるので、そのまま進めるしかない。そうすればなんにせようまくいく。
とかナントカ言っていたら、パソコンの前で眠る。で、半分寝ながらダンスミュージック中心に曲がかかっていたが、iTUNEのランダムで、かかった曲はI found out.ジョンレノンの曲だ。寝ぼけていたので、最初誰の曲かは全く分からなかった。でも、ベースがヤバい。ドラムの音は他のどんなダンスミュージックでも聞いたことがない。んんんっ?このジョンのソロファーストアルバムはダンスアルバムか?寝ぼけながら思考は進む。この「ジョンの魂」は恐ろしいほど、自分をさらけ出したアルバムだ。 こんなの普通恥ずかしくてできないだろう。でもそれが出来た。彼は。それはまさにダンスではなかろうか。ただの4つ打ちのダンスではない。リズムも音程も無視して、ダンスの形など無視して、自分の考えられる踊り方で、踊っている。
さらにこの構成。
ジョンーギター&ヴォーカル。
リンゴ 勿論ドラム
クラウス・フォアマン ベース
ほぼこの3人で演奏している。プロデュースはフィル・スペクター。普段は多重録音を駆使するこの人が、ギター、ベース、ピアノ、ドラムと単純な音だけを使ってやっていることでもおかしい。しかし、そのおかげで音、一音、一音がクローズアップされていて、自然な音を超えていっている。ベースのクラウスなんて、あのリボルバーのジャケット描いた人だもんな。技術じゃなくて,センスだけ。ベースはほとんど3つの音ぐらいしか使っていない。まさにテクノのようだ。
僕の中のダンスミュージック名盤に認定。
と、起きて興奮して書いた。思い出したが、この話、前にも書いたはず。でも繰り返すのはいいことだ。

2006年8月30日(水)

今日は家で作業。一階で松本零士の「ミライザーバン」購入。これは、地球が生まれてから死ぬまでの記憶を持ってしまった少年の話。僕が生まれる前の作品。しかし、全く古くさくない。わざとらしいSFでもない。このひとの元祖大四畳半大物語全6巻を本当は見たいのだが、とりあえずこれを買った。四畳半の畳とコンピューターが等価に描かれている。この感覚はむしろ今のものだ。 昔の未来像は、金属で覆われたでかいコンピューターは金属質の部屋に置かれている絵がよく描かれていた。それが未来の風景と思っていた。僕とは遠いもの。しかし、実際今の現状を見てみると、小さい頃に見ていた未来の風景より数倍も進んだ道具を使っているのにも関わらず、自分の身の回りの風景はナンにも変わりはしない。どこにもデカイあのコンピューターなんてない。 見た目には、70年代とも80年代とも変化がないように思える。あのころに描いていた未来像は正比例のグラフのように進歩していくと思っていた。しかし、実際は違っていた。逆に反比例のようだ。手にする道具は小さくなっていき、ただただ普通の自分の部屋の畳の上にはiBOOKがある。そのことを考えると僕はゾクッとする。怖がっているのではない。その創造的な現実に武者震いをしてしまう。 色んなものが等価に存在している。それが今の状態だ。もうこの状態は、高価な最新設備や、巨大な建造物、などいらないのだ。いずれは小銭で全てが行えるようになるのであろう。それはとても創造的であると思う。しかし、それと同時に、昔,考えていたあの未来の風景は、一体なんの風景なのだろうかとも考えるし、さらに、今のこの風景も、人間の無意識で勝手に出来たものではなく、みんなが昔、あのコテコテの未来像を思い浮かべていた時に、前衛的に畳とコンピューターを繋げることを考えていたはずだと考えるとそれもやばい。
と、家でマック使っているとそう考える。そのマックは今、僕の家ではナショナルの70年代の名機と接続されて、ジェムスブラウンや、エフェックス・ツインとか、プロコフィエフが流れている。
それはとても複雑な世界だと思う。しかし、僕たちはそれを何気なく過ごしている。それもまた複雑だ。
今、目の前の世界と、あの頃の未来の風景の間が気になる。
それはマルセルデュシャンが言った、3次元と4次元の間という言葉にも感じるところがある。
と、考えていたら、ミライザーバンの1シーンで、3次元と4次元の狭間に落ちてしまった、バンがゼンペストという真っ黒の人間に殺されそうになっていた。その場所は漫画の中では、過去を通り過ぎた先にあるように描かれていた。それもまた気にはなる。

2006年8月29日(火)

昼過ぎにヤマト印刷へ。本郷3丁目。小さな会社。今度の雑誌用にA1の原稿を大判スキャンしてもらう。今度の雑誌計画はDIGITALという名前だ。でも,デジタルとは読まない。ディグ・アイタルと読む。DIGとITALの二つの単語にわける。DIGは掘るという意味。さらに掘り起こす、という意味で、理解するとか発見するとか色々ある。ITALはこれは英語ではないけれど、パトワ語で「自然」「生命」を表す。 パトワ語というのは、ジャマイカのレゲエミュージシャンなどのラスタマンが使う、英語とアフリカが混在した言語だ。彼らがハーブで作ったスープをITAL SOUPと呼ぶ。そして、これをかなりこじつけでもあるが、DIGITALの語源と考えると、「自然を掘り起こし、理解していく」ということになる。これは驚きだ。デジタルという言葉は、いわゆる自然物とは正反対の位置に存在している概念のようだが、 よく考えてみると、今僕たちがコンピューターを駆使してやろうとしていることは、瞬時に計算が出来る、(貝殻はコンピューターでは計算し尽くされないほど複雑な等比数列)ネットによる、瞬間通信(動物たちは言語ではなく、テレパシーのようなもので連絡する)など、自然現象をもう一つの力(人間自身)によって再構築しようとするものであるとも言える。人間が有していない「本能」を取り戻そうとする作業のようにも感じられる。 そんないろんな意味を込めて、名付けた。しかし、これは私が考えたことではない。それは8年前、僕がヒッチハイクをしてくらしていた頃、のっけてくれた八王子の呪術師、SIMIが僕に唐突に放った言葉なのだ。それが20才の頃の僕には全く意味が分からず、しかし、ずーっと気になっていた言葉でもあった。それが今頃むくっと起き上がってきた。要はそういうことだ。 人がやろうとしていることなんか、はじめから決まっているのではないかどんな考えても、常に昔、直感で感じたことが真実なのである。僕は生まれてからずっと変わっていない。やりたいこともだ。ただ焦点が合ってくるだけだ。
その後、リトルモアへ。途中でスペクテイターの青野サンと会う。昨日会えなかったのに。。そんなもんだ。地下で梅さんの展覧会見て、上にいって本もらって帰る。
中野で、僕といっしょ全巻購入。この漫画に関してはそのうちキチンと書かねばね。ヤバい漫画があるもんである。

2006年8月28日(月)

千駄ヶ谷のスペクテイター編集部へ。原稿とどけにいく。今日はケイちゃんも青野サンも居なくて話せなかったが,次号は日本の山、バックパッキング特集らしい。僕の立体読書は緩やかながら進行している。こういう風に続いているものも珍しい。
youtubeに僕の映像を載っけてみたら、早速反応が来ている。しかも、日本人じゃない。BDってどこの国のことだろう。そこの人が興味を持っているらしい。うれしい。でも不思議。ええっつ。今調べたら、BDってバングラディッシュだよ。多分。何が起きているのか。
今日の映像:本物のダンスミュージック。mancusoセレクトです。
MANU DIBANGO

2006年8月27日(日)

午前中、青山で打ち合わせ。その後、渋谷に行く。ユーロスペース。昨日カンサンが教えてくれた、台湾映画を観る。ツァイ・ミンリャン監督の作品、「楽日」。台湾の古い実在の映画館が閉館するのを聞いた、監督が、その映画館が最後の映画を上演する模様を映画化した作品。音楽は一切なく、台詞も、映画館の中だから、ほとんどなく。音楽,台詞はすべて、その映画館の中で流れている映画の音だけというもの。しかも、その中の台詞が偶然かうまくひっかかっている。 ちょっと説明がつかないが,僕は単にアヴァンギャルドな映画とは思わなかった。それよりも時間を空間化することに成功した、ドキュメンタリーの新しい概念のような気がした。面白い。でも少し寝たけど。
その後、渋谷をふらふらして、新宿で岩ちゃんと待ち合わせ。一年ぶりぐらいで呑む。新宿二丁目手前の誰もいない飲み屋。焼酎一杯飲んで、後はテキーラ。ジョンウォーターズとかイタリアとかの話。久々に感じる緊張感もあった。岩ちゃんは作家志望やろうとしていることは違うのだが,好きな作品も勿論違うのだが,それらの捉え方に僕は感じるところがあり、話が面白いのだ。まぁたまにヒートアップしてぶつかることもあるわけですが、まぁ久々にあって元気そうでよかった。これはこっちもがんばらないかんですな。
終電で帰る。

2006年8月26日(土)

今日は高円寺阿波踊り。毎年の行事。今年は二日間だけらしい。だから,土曜日の夜が一番盛り上がったのかな。今年は大通りで、特等席を見つけたので、よかった。今回も踊りを見ながら、色々考えた。気になったのは、女性の踊りを男たちがカヴァーするところがあり、そして、最後に、男と女が同じ踊りを踊ったまま、向かい合って、ピタッツと止まって、そこから一気に男が女の横を低い姿勢でさっきまでの真似を冗談でしていたのが嘘のような勢いで駆け巡り、 最後は元の男と女の踊りに何もなかったかのように戻るシーンがあったのだが,それは僕にはとても性的な踊りに見えて、多いに妄想力を高められた。
その後は、イワンに行くことにした。久々の寛さん&ヨーコさん。久々で興奮。あそこはいついっても、帰ってきたような気がする。ズブロッカ、タンカレー、ラムコーク。しかも、パスタの種類増えていて、グリーンピースとハムのパスタ、ペンネアラビアータ、どっちも頼む。色々映画のこと教わる。やっぱりここは素晴らしい。幸せになる。なかなか高円寺から離れたくなくなり、そのまま4丁目カフェで一服してから、ようやく帰る。高円寺時代もよかったな。

2006年8月25日(金)

FBPでパスタ。ペンネカルボナーラとマルゲリータ。王道頼んだら、旨すぎた。ハートランド麦酒。オムレツも注文。
帰りに「それいゆ」で一服。カフェとパンプキンパイ210円。文化祭みたいだ。でも旨い。しかも、店員がいいんだ。ここはヴィジュアル系の彼。でも、話しかけると無茶苦茶いい人。なんかそういうの、いいなぁと思うわけよ。

2006年8月24日(木)

ノブがN.Y.から帰ってきたらしく、新宿で会うことにする。そのまえにベルグで一杯飲む。そのままLUMINE 1の地下街に行く。ここすごいな。茶漬けどんぶり屋、自然食品屋、カフェが並ぶ。その中のタイ屋台料理屋にいって、ガパオとグリーンカレー食う。その後、上に上がって、book 1stとスタバにいって、エスプレッソ。ここのルミネブックファーストはなんか違う。普通の本屋とは何かが確実に違う。そこで村上隆氏の芸術起業論があったので買う。 幻冬社。なんか匂う。中身は完全ビジネス書、そして少し自己啓発入っている。日本人啓発か。アンディウォーホールばりの薄っぺらさと、才能のなさを前面に押し出す。一番やっちゃ行けないことをやるしかないという方法論。話は面白く、すぐ読み進む。違和感は否めないが。それも狙い。いらつきの向こう側。そこに何かあるかもしれないと思わせる。しかし、すこし悲しみが読み取れた。実は苦しいとか,仮面とかじゃない悲しみ。なんだろう。分かってほしいという感じがした。 熊楠感覚とは全く別のベクトルだ。なんだろう。でもいつも僕の中にはこういう村上さんのような著作に共鳴するところと熊楠感覚が共存している。そして、やっぱり一興奮した後には熊楠感覚に戻るような気がする。

2006年8月23日(水)

パソコンで作業。ようやく大判ポスター式雑誌の作業取りかかる。止まって考えていても始まらん。やらんといかん。そういえば最近売り込みなどをやっていないことに気づく。展覧会と次の本のことばっかり考えていたからね。とにかくまた行動だ。前へ進めと唸る。アビーロード聞きながら作業する。アビーロードは何も変わらない。いつも変わらない。でも聞く僕は変化している。聴き方が変わる。一曲目のcome togetherをいつもは結構飛ばして聞くが、今日はすっと耳に入った。そういうふうに聞いている。人間の直感をそのまま音にしたアルバムだと思う。直感は人は勘違いしやすい。直感はもっとおおらかで幅広い。でも昔の僕は気づかない。直感とはきらりとひらめくものだけだと思っていた。それは違うんだと気づけるアルバム。自分の知らないことが自分の中に入っているという事実。直感はその玄関である。

2006年8月22日(火)

315円マッサージ。帰りにナモサンのところで買い物。おいしい豚肉買ってきたので,生姜焼き。又性懲りもなく、雑誌についての考察。1000部、五万円と出た。これなら可能性有りだな。

2006年8月21日(月)

代々木で待ち合わせ。佐藤恵子サン。彼女は色んなことをやっていて、僕はなかなか説明がつかないが、絵を描いていたのだが,今はそれよりもアーティストの環境づくりみたいなものに興味を持っているらしく、NPO法人を立ち上げるようだ。麦酒のみながら、初めて詳しく話す。自分もこれからのことを少し考える。どのようにして、うまく制作を生活にできるのか。長年のテーマだが,今のところそれはまだ難しい。でもまあ僕はそんなことより,面白いのを作るだけだっということでもある。うん、おかげで最近考えてないこと考えた。

2006年8月20日(日)

下北沢に演劇見にいく。マコが舞台を作っている、バングラッシーの公演。今回の舞台はなにやら、ニューヨークの場末のコメディシアター風。アンディカウフマンが頭をよぎる。前の席には、ヘッドフォンをしながら見ている少年。たまにみんなが全然笑っていないところで爆笑していた。やばいぞ。内容は本当にカウフマンの駆け出し風だった。今後に期待。飯は久々にもみじ亭、くるみには劣るが、ここはここでうまい。FLASH RECORDSに久々行くが,ここ最近の趣向にあったレコードコレクション。今度買いに来よう。で、またひさびさの駅前の二階の靴屋。ここは高円寺から移転してきた、ナイスセレクションの靴屋。亮太がへんなアディダス買った。ヴィレッジで漫画本漁ってかえる。

2006年8月19日(土)

ル・クール・ピュで夕食。亮太とふうと。白ワインボトル。2500円って安いよね。メインはインゲンとポークのジェノベーゼ。旨いよ。ここのキッシュは天下一。そば粉のクレープサラダ。また幸福になる。こんな幸福な店を僕は他に知らない。
プロコフィエフのCD購入。今度東京文化会館でエイゼンシュタインのイワン雷帝の演奏会がある。作曲はプロコフィエフ。音楽に変化の兆し。ダンスミュージックからクラシックへ。
ダンスとクラシックといえば、jeff millsという人がテクノをオーケストラで演奏しているらしい。で、僕はテクノを全く聞かないのでジェフミルズがどんな人か知らなかったが、ちょっとこの映像見てたら気になった。テクノとかじゃないなこれじゃ。空間を作っている。どこかの民族のシャーマンにも見えてきた。

2006年8月18日(金)

吉祥寺にGOMIとトケシさんと。居酒屋にいってなんでもない話。途中からマキさんも参入。ハモニカ横町で呑もうとしたら、そのまま僕は全然違う飲み会に混じっていてコパンダという酒場で赤ワイン。そのグループは井の頭公園にある、ゲストハウスに住んでいる人たちらしい。その次はレゲエが鳴り響いている二階の店。その後、126という変なバーで日本とタイのハーフの若い子がやっていた。朝五時頃帰宅。ラフロイグと、アブサンばっかり呑んでいた。

2006年8月17日(木)

ロベール・ブレッソン「抵抗」。これまた凄い。アントニオー二とはまた全く違うタイプだ。この人はどんな映画を撮ろうが関係ないような気がする。撮ることが重要で、撮ればそれが全てブレッソンの映画になるような気がする。抵抗というのは、ドイツ軍に囚われたフランス人スパイの脱獄の話だ。実話を元にしている。登場人物は主人公ひとりみたいなもんだ。映像も脱獄までの詳細の繰り返しなのだが、、、全く見飽きない。というかドキドキしてしまう。最後は本当にバクバク。モノクロとかもう本当に関係なくなる。そういうのを見たかった。これらの映画と古谷実の漫画にやっぱり共通項を感じる。内容ではない何か。意味ではない何か。物語ではない何か。その「何か」が揺り動かすのだ。人を。とか考える。そのついでに深夜、ちかくの喫茶店「それいゆ」で一服。ここのサンフランシスコムード満点なのはなぜかを考える。夜こういうところがあるのはすばらしいではないか。ここのチョコビスケットが絶品なのである。298円。私はつくづく金がかからない。
tommy the royalよりアントニオーニ「砂丘」がやばいとの情報。つぎはそれかな。ベルイマンというスウェーデンの監督の作品も気になる。ナンにも知らない私。

2006年8月16日(水)

ミケランジェロ・アントニオーニ監督「欲望」借りる。これはよくお洒落なポスターとして、お部屋に飾られていたりする、ジャケットが有名なやつなわけで、僕はそこら辺がウーンと思っていて敬遠していたが、見て観ると、ところがどっこい、これはむしろ僕が凄く望んでいるような映画だった。お洒落とかそんなもの関係ありません。映画そのもの。アントニオーニやばい。音楽はハービーハンコック。しかし、その音はBGMとしては入っていない。全部ステレオから流れてくる、環境音楽である。それ以外は、ほとんど足音と葉っぱのしげみの音。音が作られていない、そのまま,ありのままの音を使っている。映像もストーリーはあるが、起承転結があるわけではない。善も悪もない。なにもない。でもそれが当たり前のように配置されている。凄い。また映画見たくなってきている。次はロベールブレッソンの「抵抗」を借りてきた。

2006年8月15日(火)

今日は多摩川源流に滝を見にいくという計画が、昨日の交通事故のようなダンスムーヴメントのおかげで、起きたのは11時。諦めて、ホットケーキのミックス買いにいって、ホットケーキブランチ。ティファールのフライパンは、やっぱりいいな。綺麗な焼き上がり。うまい。
で,今日は予定を大幅に変更して、東京上野の国立博物館に。伊藤若冲です。見にいきました。しかし、今回はやたらと目にする宣伝に少しあやしいなと思っていたら、なんとなく的中。伊藤若冲の作品はよかったんですけれど、それはやはり少なく、それ以外の江戸絵画にはあまり興味が持てなかった。しかし、伊藤若冲はいい。写実をしすぎて、写実を超えていく、あのかんじなんですな。丁寧に見すぎて、その物体のドットまで感じてしまっている。これはデジタル絵画なはずだ。人力マッキントッシュ。しかし、僕は京都は相国寺美術館の伊藤若冲の芭蕉図と葡萄図の水墨画のほうが好きだった。あそこなんか僕がいった時には人っ子一人いなかった。さらに長谷川等伯まであるんだもの。あーあそこ又行きたい。
絵はやはり静かな出会いなのである。音がないのである。それをかんがえながら、タルコフスキー映画論読んでいたら、彼が映画になんか音楽なんかいらないんだ!!でも僕はまだそういう映画を作れていない!!と悔しんでいて、その悔しさに嫉妬した。悔しがりかたがかっこ良すぎる。
で、今日は恵比寿リキッドルームのハーバートは、行かなかった。

2006年8月14日(月)

たまたま寄ろうと思って気軽に京王デパートの屋上のビアガーデンにいった。タンゴ、ふう、遅れて亮太。麦酒に行かず、白ワインボトルで注文。涼しくていい。でもラテンライブって書いてあったんだよね。やな予感。的中。ライブ始まるや、僕の腰はまたもや激しく揺れ始め、僕も止めようとはするが、そこはど根性ガエルばりの僕の腰、収まるはずもなく、ステージ上へ。いってはいけない、でも、そこは職業病??のような僕の腰。もう後は知りません。一部も二部もずっと踊っていた。隣のおばちゃんが興奮して、チップをくれた。そのチップでまたボトルを注文。そして、最後に奇跡が起きた。次第に僕の腰にみんながついてきて、最後の曲になった時にはもう大勢の人間が歓喜のダンスを!!!うぉ!!もう係員も止められない。止めてくれるなよ係員。なんか最後はおばちゃんも僕に抱きつき腰をくねらせていた。僕はこれを天職だと思っている。こういう商売ないのかな。でもかえりやはり吐きそうになる。しかし持ちこたえる。えらい。

2006年8月13日(日)

青山で所用。その後、神楽坂のくるみで昼飯。やっぱり何度も書くが、ここのお好み焼きはうまい。その後、そのまま神楽坂の饅頭屋、麦丸で一服。赤ワインと黒糖粒あん饅頭。またまた自分で作る雑誌計画が頭をよぎり始めた。もう何度目か。そろそろ実行に移そうか。

2006年8月12日(土)

原稿完成。コーエン兄弟の「バートンフィンク」借りてくる。去年ニューヨークに行った時にたまたま隣に座っていた、アメリカ人兄弟が日本に来るらしく、連絡が来た。日本語の先生になるらしい。日本マニアの二人。飛行機で話しただけなのに、彼らはよく連絡をくれる。僕はときたま返事が遅れるが、彼らはよく連絡をくれる。ご飯をごちそうしよう。料理の鉄人とかよく知っているんだな。

’NY一日目。コンチネンタル航空でいざニューヨークへ。座席に座ると、横には日本人とアメリカ人の夫婦がいて、子供がいる。よく泣いてた。僕はただただ寝てたら、起きたときに、夫から「後ろにあなたの席を取ったから、移動してくれないか?」といわれたので移動。移動したところにはアメリカ人が二人。僕が移動してくるとのっけから興味津々。なんで?話をすると、とにかく日本オタクの二人でとにかく日本人としゃべりたい様子。 ジョーとジョン。二人は兄弟。話は漫画。またまた彼らも漫画。しかも、それだけでなく料理の達人や、トリビアの泉なんてのも知っていてすごい。コンチはビールが5ドルもする。やっぱりマレーシア航空がいいな。そんなわけで彼らと日本文化の本質とは?みたいな勝手な議題で大いに盛り上がる。今度日本に来たときは家に泊めてあげる約束をする。’
(坂口恭平日記帳 2005年6月13日より)

2006年8月11日(金)

昨日のノリのママ,描き進む。予定を大幅に越えて、スケッチ完了した。あとは諸々文章書き込んで完成だ、不思議だ。いつも。出来る時は一瞬だ。なぜだ。

2006年8月10日(木)

スペクテイター原稿。昨日の深夜ひらめいた構図で描き始める。こうなるともううまくいく。はずだ。今までのがなんだったんだろうといつも思う。悩んでいる時と、決まった時のこの落差。でもこれがあるから信用できる。ひらめきというやつを。それは努力とか時間の積み重ねとかだけでは説明がつかない。むしろそれら、普段必要とされているものはいらないのかもしれない。一瞬にして出てきてしまう「なにか」。それがなんなのかを知ろうとする作業なのかもしれない。

2006年8月9日(水)

午後HISに行く。9月のバンクーバーのホテル、そして来年の4月のハワイの話もする。資金面に少々不安が残るが、まぁ良しとする。冷やし中華作る。桃食う。
スペクテイター用原稿仕上げるつもりだが,なかなか進まず。いつものことだが。
バンクーバーで0円ハウスをたくさん売りたいので、その点も色々手配する。
0円ハウス、残りもまだあるんだな。

2006年8月8日(火)

銀座に行きて、小松ビル。HP FRANCEビル。大地さんと会う。そのまま広尾に行きて、予約しておいたビストロに。えらく上品なビストロ。ふうの誕生日なので食事。少し高いが、シャンパンと前菜頂く。でも旨い。メインは鯛と豚肉。これまた旨い。でもワインとかイイもの過ぎて手が出せず。グラスワイン。夜11時まで食事続く。旨い。でも格式張りすぎかも。こういうところはあんまり得意じゃあない。なんかもうちょっと適当な方が信用できるような気がする。

2006年8月7日(月)

午前中東京医大で検査。そのまま図書館でニューロマンサー(ウィリアム・ギブスン)マーティンドレスラーの夢(スティーヴン・ミルハウザー)タルコフスキー映画論借りてくる。銀行で支払い。帰ってきて、スペクテイター用スケッチ描く。が、麦酒飲んで寝る。
夜、六本木でクミチャンに髪切ってもらう。いいクンにも久々に会う。
タルコフスキーのアンドレイ・ルブリョフ借りてくるが、ヴィデオデッキが故障で見られず。おいっつ!

2006年8月6日(日)

午前中、青山で旅行の打ち合わせ。その後、渋谷道玄坂のcinema ANGELICAでアニメ映画「王と鳥」観る。これはなんでもジブリが凄く影響を受けた作品らしい。なるほど。そのまんまといえばそのまんまかも。この映画はとにかく空間描写が凄い。すべてが辻褄が合っているように描かれている。1950年に作られたとはとても思えない。映像だ。凄く現代的。未来的な映像と手作り感が合体している。未来世紀ブラジルなんかも影響受けたのではないか。しかも、自分が今描いている、へんてこな塔の町にも似ていて、なんだかおかしな気分だ。

2006年8月5日(土)

江戸川花火大会に行く。ここは初めて。どうなのかよくわからなかったが、駅に着くともう人ごみで身動き取れない。それでもどうにか抜けて,外に出ると、「んっ」なんか地方の香りが。熊本の花火大会にも似た、あのいい香り。アプローチが古い家が並び、その路地の向こうにはでかい花火が。こんな景色が見える花火大会もあんまりないんじゃないか。
それでとにかく目立つのが、近隣の住民が道路にテーブルと椅子セット持ち出して宴会している姿だが、これが今回すごく気になる。花火大会、夜に光が放つ時は街が開放的になる。あちらのベランダで、屋上で、路上で、いつもはただの暗い夜なのに、この日は全てが眠らず、全活用。全てが空間として成立している。花火を見ている人たちの写真を撮ったら面白そうだなと思った。
僕たちも遂に打ち上げ会場内まで忍び込む。河川敷には人人人。で,花火がすごい。質より量。量が半端ない。今まで見た中で一番面白かったかも。これは来年も行こうかと。

2006年8月4日(金)

リトルモアに行く。今回はバンクーバーでの展覧会のときに本を売りたいのだが、その方法などの打ち合わせ。しかし、海外の取引は支払いが悪かったりと色々大変らしく一番良い方法を考えなくチャということになった。
その後、僕の最新の作品を浅原サンにみせる。少々緊張。浅原サン、1ページずつ丁寧に見てくれる。僕はとにかく説明する。今回は文章が多く、それもじっくり見てくれている。好感触のようだ。本にしたいといってくれた。しかし、内容がシブすぎるのでもっと伝わるにはもう少し手を入れる必要がある。これは焦らず、じっくり面白く育てていこう。
久しぶりに盛り上がりそのままリトルモア近所の「ゆかり」というモヒカンなど、パンクの格好が制服のようななぜか原宿の真ん中に高円寺臭プンプンの店で二人で呑む。二年前のあの印刷立ち会いを思い出し、またあの時のように本作りに狂いたくなってきている自分に会う。

2006年8月3日(木)

なんだか、僕が送った0円ハウス実寸キットが税関でストップしているらしく、そいツァ困ったで、なんか委任状だの印鑑だのfaxでやりとり。いちおう大丈夫になった
スペクテイターの次号の編集がスタートしたらしい。僕の渋い、立体読書の連載は第3回目。8月12日が締め切り。でも何描こうかまだ決めてない。いつものことだが、、。それでなんかないかナッということで、近所の音羽館にいって立ち読む。でもそれでも決め兼ねるので、店長に聞いてみた。「あのー、パノラマ島奇談みたいな変態小説ってありませんか?」「んー、それじゃあね。こういうのはどうかな。」と、アメリカの作家、スティーヴン・ミルハウザー氏の本を紹介してもらう。これはベルボーイから成り上がった男がホテルを作り、そのホテルの中を無茶苦茶奇想天外に作っていくという話らしい。んー、これはクサいぞ。建築小説ってジャンルあるかもね。
日本に実際にある,パノラマ島の映像。日本の九龍城。探偵ナイトスクープって昔から好きだったけど、ホントあれおもしろい。で,なんであんなに面白いのかなとおもっていると、ナイトスクープってネットのなかの面白いページに似ているなと思った。つまり、芸能人なんかより、個人の普通の日本人のほうが断然面白いということ。さらに色々よく知っているし、行動力もすごいし、笑えるということ。ブログの先駆けのような気がしてきた。あの深夜時間帯もいいしね。TVの深夜時間帯ってそれもネットっぽい。つまり、そんなに万人に通じるネタじゃなくても何万人という人が楽しみにしていることというのが、この世には無茶苦茶あるということ。むしろ今は深夜時間帯がゴールデンタイムの可能性もある。ddowntownのマッチャンは対談でそのことを強調していた。
まぁTVも見ない私がいってもあれですが。昔のNHKのソリトンBsideとかやばかったもんな。高校野球が早く終った時のMR.BEANとかも。

2006年8月2日(水)

町田康さんのへらへらぼっちゃん読んでいたら、彼の創るもの、気になるもの、その全てはみんな同じだという。そしてそれは「音楽」と呼ばれる。文章書いていても、絵描いていても、道歩きながら感じることでも「音楽」になってしまうのだろう。
それを考えながら、僕の場合でもそれと似た状況が度々起こる。それを僕の時には「建築」と表現してしまうのだ。それは一体どういうことだろう。分かりそうで字にはかけない。感じることは出来るのに。しかし、それは「知覚」しているということだ。LEE SCRATCH PERRYのスタジオの映像僕はこれを「建築」だと大声で言いたい。何もギターも弾かずにふらふらしているやつを「建築」と呼びたい。それはつまり、そういうことだ。
ついでに僕の踊っている映像を誰かが録画していた(作者不明)。エココロ編集長、スペクテイター編集者であるケイちゃんの結婚式での一コマ。at SUPER DELUX
ははは、
タカモトから築地直送で荒巻鮭一匹まるごと送ってくる。これどうやって保存したらいいかね。冷凍庫に入らんやんけ。一枚一枚輪切りにして保存した。半年ぐらい行けそうだ。マンモス一匹しとめた時の原始人の解体している時の心情が少し分かった。ハハンこういう感じなんやね。

2006年8月1日(火)

荻窪に行き、ルクールピュで食べようと思っていると、電話。ハマから電話。今ピュにいるらしい。ちょうどいい、飯を一緒に食う。ハマとジョニーとふうと僕。最近ハマは店を出した。独立した。それで盛り上がっていた。気持ち良さそうだった。大変ではあろうが、、。僕も完全に独立したい。そこがとても刺激になった。とにかくやろう。やる気があるやつは何かを思い出させてくれるわけである。
バンクーバーのブツは無事飛び立ちそうとのこと。色々あったが、なんとかうまく収まった。カナダでも頑張ろうとなんとなく今日はしみじみ思う。

0円ハウス -Kyohei Sakaguchi-