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Journal -坂口恭平の毎日-

2005年10月31日(月)

午前中近所で撮影。久しぶりに大竹伸朗著「既にそこにあるもの」を読む。僕が今日読んだのは文庫本なのだが、その中に盛り込まれている木版が気になる。所謂木版という存在とは違う。そのなかでも「ムシュー・ジャリ」と「ワイキキの夜」、「遭遇」この3つ。木版画というものでまた既成概念を破って揺さぶってくれる。それはとても勇気が湧くものである。
マークボランとコーネリアスの間が気になってギターを弾くがなかなか難しい。

2005年10月30日(日)

近くのビデオ屋さんに借りにいく。杉本彩主演「花と蛇」を借りる。凄い。な。
ここのビデオ屋さん、「レンタルショップ」ではなくて、「レンタルシップ」という名前で、それがなんとなくビデオを見るとことが旅をする事に連想されて、勝手に創造を膨らませている。さらに、その店は4~5階建てのマンションの一階にあるのだが、そのマンション自体が船のような形をしていて、軍艦ビルを作った渡邊ヨウジのような建物かとも思われそうなもの。なにか、あるのだろうかと考える。

2005年10月29日(土)

高校時代の同級生、カナやん、ミトと会う。後、他にもきてて7人で渋谷で飲む。かなり久しぶりに会った人もいたが、あまりにも変わらないので笑ったまま気づいたら朝7時だった。

2005年10月28日(金)

ようやくインターネットが使える状態になったので、これで漫画喫茶に行って更新せずに済むと思いながらもそれはそれでよかったのかも知れないなどとも考える。要はパソコンにあまり時間をかけたくはないという事だ。漫画喫茶で作るときは、一時間で一週間分の日記を書いてしまうということを決めていたのでうまくいってはいたので。とか、いっていたらなんと今使っているocnの簡単ホームページキットのサービスが12月で終了するそうだ。 このシンプルさが良かったのに。終わってしまうのか?新しいホームページを作る必要が出てくるかもしれない。
とにかく、色々やってみましょう。「貯水タンクに棲む」と「移住ライダー」の映像も見れるようにしてみた。
http://homepage.mac.com/kyohei88/MOVIES/iMovieTheater5.html

2005年10月27日(木)

BECKの「JACK-ASS」という曲。この曲を僕はすごく気に入っているのだが、クレジットを見ると、「it's all over now, baby」をサンプリングしていると書いてある。その曲はbob dylanの曲だ。しかし、どこを聴いても曲の中にbob dylanのアコギの音なんかない。
しかし、ある日サンプリングしているのはbob dylanの原曲ではなくて、themというバンドがカヴァーしているヴァージョンだったらしい。themはvan morrissonが在籍していたバンド。それで、そのカヴァーしたものを聴いてみると、いい!ヴァンモリソンのボブデュランに対する解釈の仕方が凄い。そして、それをサンプリングしようとしたBECKがまた意味深である。彼のjoni mitchellに対するアプローチもかなり興味深いが。
そのようにサンプリングされた原曲を聴くと、そのミュージシャンがどのような姿勢で音楽を聴いているのかというものが、こちらの勝手な妄想ではあるが、感じる事ができて面白い。それは、所謂「60年代の音」などというようなジャンルで分ける聴き方とは多いに違い、もっと多次元的と言うか、偶然の必然的と言うか、一体、彼は家でどんな音楽を聴いているのかという創造的な聴き方であると思う。と、久しぶりにODELAYを聴きながら感じた事を書いてみた。

2005年10月26日(水)

僕のバンクーバーでの個展がちょうど一年後の2006年10月に決定した。
バンクーバーの後にも、サンフランシスコ、バンフ、ニューヨークに巡回していく計画もあり。美術館での個展はもとより、ギャラリーでも、路上でも個展なんかしたことがないのでどんなものになるかは想像できない。しかし、それだからこそ何かできるかもしれないと一抹の希望を持つ。

2005年10月25日(火)

朝からコンタクト屋に行って、購入。帰りに吉祥寺から西荻まで歩いて帰って写真撮る。熊楠の写真が出来上がる。いい。でも、それをどう見せたらいいかはちょっと難しい。
ジョージ・マーティンの「耳こそすべて」読む。T-REXのDEBORAというファーストシングルの曲が気になる。エレキに行く前の方がいい。
深沢七郎の「言わなければよかったのに日記」読んでびっくり。

2005年10月24日(月)

母と美帆と吉祥寺に行く。メンチと小ざさの最中とゴールデンコース。散歩でコーヒー豆も買う。
家に帰ってきてから、オーネット・コールマンの「アメリカの空」を聞いていたら、外から豆腐屋さんの「プー、ピー」というラッパの音が聞こえてきて、始めその音が豆腐屋さんだと気付かず、オーネット・コールマンと思っていた。その音が耳の近くで臨場感満点で鳴っているのでびっくりしていたが、豆腐の音と気づきがっくり。不思議な体験。
萩原朔太郎の「猫町」を読むと、そこには、自分の家の周りのよく知ったところをある日、無茶苦茶行っていたら、道に迷ってしまって、通りに出たら、全く見たこともない新鮮な風景が目に飛び込んでくる。しかし、よく見るといつも通る道を反対側から見ただけであった。
これも、一見「あーなんだ。反対から見ただけか」と思って終わりそうだが、風景が、二つの視点からみたらぜんぜん違うということは、空間はいくつもの世界を持っているのではないかと、朔太郎は熟考していく。
それと豆腐屋のラッパが重なった。

2005年10月23日(日)

朝起きて、西荻散歩。タンゴつれて、骨董街。ベーグル屋にも行く。お決まりのゴールデンコース。
タンゴが帰ってからは、母が東北から訪ねてくるので、家族集合。僕が飯作る。
親父と母、うちで寝る。

2005年10月22日(土)

タンゴ、パリより凱旋。友人のNマン連れてくる。僕はパスタ作る。久しぶりだ。久しぶりで盛り上がる。パリを思い出す。あのサンドニのアパートは最高だった。パリに見えないけど。近くにはNEW MORNINGというライブハウスがあって、そこでアートリンゼイ見た。そこで踊っていたらアントニーと会った。と、しばし、思い出す。
その後、家を出てタクシーで高円寺のイワンへ。もう半年振りだ。あっカンさん。お久しぶりです。途中から、ゆうじとタンゴの同級生入り混じって、小さいイワンにギュウギュウ詰まって、ズブロッカ。
久しぶりのイワンは最高。その中で、僕の本を持っている常連の人に遭遇。しっかり読んでくれていて感動。こっちのテーブルに移動。
今日は酔っ払って寝る。

2005年10月21日(金)

細野晴臣「レコードプロデューサーはスーパーマンを目指す」読み終わる。海外の音楽プロデューサーについての深い考察。そして、ミュージシャン自身ではなく、次第に、プロデューサーに興味をもっていく。
音の肌触りというか、耳触り。そこに、彼は注目している。だから、荒井由美の音はポップなのに、質感がしっかりある。しかも、大衆のものとしての音楽に対しても、しっかりがっぷり四つで向き合っていて。
前衛と大衆音楽の間の隙間の音。それは、人がいつも口ずさんで新鮮になれる音。それは、音だけでなく何にでもいえるなと思った。

2005年10月20日(木)

タムとナベがワイン片手に来訪。チーズもある。ふうの土産のトリュフ入りのバターなんてのもある。豚の角煮饅頭、とか色々食べ飲む。

2005年10月19日(水)

山下清の画集、森達也「スプーン」、赤瀬川原平「全面自供!」、ブライアンイーノの日記、細野晴臣のプロデューサーについてのエッセイ、とにかく乱読しよう。これから。

2005年10月18日(火)

代官山でマエハラとイイチャンの催し。島美人を飲む。イイチャンのライブは、また同じ曲に、引っかかった。あの曲は何だろう。気になった。新聞カメラマン、パティシエ、PAといろんな人に会う。

2005年10月17日(月)

くみちゃんに髪を切ってもらいに六本木。明日はマエハラがDJするそうなので冷やかしに行く約束をする。

2005年10月16日(日)

中島らも「永遠も半ばを過ぎて」を読む。こんな本があるとはしらず、京都駅の本屋で買って帰っていたが、読むと夢中になり、即、読了。

2005年10月15日(土)

大阪を昼過ぎに出て、名古屋で林さんと5時に待ち合わせ。
久しぶりにあう。お互いの近況を話し合う。その後、終電の新幹線で東京に到着。即寝。

2005年10月14日(金)

起きてすぐ出る。学生と別れる。そのまま大阪へ。今日はアキちゃんと和歌山へ行く。もちろん南方熊楠の生家に行くためだ。アキちゃんが車で送ってくれた。あいにく生家は改装中で今日は見れませんと、役所の人に言われたが、それではとてもいたたまれないので、生家前に行くと、人影が見え、話をすると、中に入ってもよいそうだ。なんと、熊楠の親戚の女性のかただった。感謝。
熊楠の家は住宅地の中にひっそりと建っていたが、中に入るとそこは鬱蒼としたジャングルのようだ。いつも、彼の周りには森ができる。
そのあと記念館にも行ってみる。記念館への道のりがこれまた、南国のパプアニューギニアかどこかのようでアキちゃんと「パラレルワールド」だと行っていた。
そのまま、熊野にもいってみる。そのまま高野山にも行ってみる。その道のりが実は「パラレルワールド」だった。ぼくたちは山に迷い込んでしまう。行けども行けどもまったく同じ道を走っているような感覚に陥り、終いにはまず、ウサギが飛び出し、さらには鹿が3匹も通り過ぎた。アキちゃんも真っ青になっていた。
それでも無事到着(僕は寝てしまい、アキちゃんが命からがら抜け出し、)し、アキちゃんの家で芋焼酎飲んで、江戸川コナン読みながら寝る。

2005年10月13日(木)

 講演会当日。朝8時半の「のぞみ」に乗って、いざ京都へ。
11時半には京都精華大学に到着。そのまま機材と会場のチェックに入る。おー。でかいです。こんな広い教室でやって、人が10人ぐらいだったらどうしようなどと、考える。でも、スライドはいっぱい見せたいものだらけなので、もうどうでもいいから早く喋りたい。でも、モルツを一杯ぐびっと飲んで気合をいれた。さあ開始です。今日は親戚のアキ叔父ちゃんも来てるので、がぜん気合いはいる。
まずは0円ハウスの説明。そしてドラム缶の家、そして僕の最近の作品、「フリーマーケット」と「熱帯」の説明。おっ!受けてます。そのまま木村伊兵衛、デビットホックニー、熊楠と話は、強引ではありましたが、無事つながり、最後は自分の映像作品をお披露目。そして、よく見ると、スタート時は30-40人だった人が、見る見るうちに増え、最終的には165人もの人が集まってくれたらしい。ありがとうみなさん。
そのまま終わってからも、学生たちが話してくる。本も何冊か売れた。叔父さんも満足そうだった。須川さんもほっとした様子。ま、大成功だったのではないでしょうか!!そのままアキちゃんと飲み会。そして引き続き、京都精華大学スタッフ、学生一同と打ち上げ。大いに盛り上がり、ベトナム料理屋で二次会。ジョイボーイがかかっていて興奮。そのまま学生も連れてホテルで寝る。

2005年10月12日(水)

明日に備えて、一日話すこと考えるが、何を喋ろうかと考えると面白くなくなっていくので、とにかくモチベーションだけをどんどん上げていこうと思いまして、南方マンダラを読み続ける。やっぱりこっちのほうがよかった。何をしゃべるかなんてどうでもいい。どう喋るか?だけだ。でも緊張は隠しきれず。

2005年10月11日(火)

スパイクジョーンズのMTVのミュージックヴィデオDVDを買ってみていたら、大変なことになった。というか、先週、いろいろ調べていたことが一気につながった。今までまったく知らなかったのが悔やまれるが、物を知るときというのは、大抵そのときにしか感じれないことが多いので仕方ない。
彼はほとんど金のかからないやり方で、技術を駆使して表現する世界よりも広範囲の感覚を表している。一つのヴィデオ。ファーサイドというHIPHOPのPV.はじめは何の不思議もないが、途中から画面で起きていることがおかしいと気づく。実は、ヴィデオの終わりから撮影して、それを逆回転しているのだ。言葉のしゃべり方まで逆回転して録画しているので、頭がおかしくなる。さらに、編集を一切していないので、それがまた人の錯覚を助長。
なんといえばよいのか?つまり、ヴィデオを作ることがさきではなく、日常のシーンをたまたま見ていて、「あっ、これはまるでPVみたいだな。」と思ったことを、エイゾウ化しているのだ。そうすることで、遠近法ではない絵画を描くように、多焦点なヴィデオに仕上がる。これは、先日のコーネリアスのREMIXのギターについても当てはまる。佐伯祐三だってそうだ。僕たちには普通の風景にしか見えない。しかし、それは金をかけずに、高い感覚を払うと、違う位相の世界にいく。
それはデュシャンが言っていた言葉ともつながる。
「コールテンのズボンが擦れあう音は音楽だ。」
うーん。こういうことを伝えたい。

2005年10月10日(月)

練馬で佐伯祐三展見る。今回の展示で前から見たかった「下落合風景」という作品群がかなりの数見れた。佐伯祐三はいわゆる、パリの路上の絵が一番有名なわけだが、僕は「下落合風景」が好きだ。岸田劉生の「切り通しの写生」に負けず劣らず。一回目のパリから帰って、二回目にまたパリに行くまでこの作品を書いている。そして彼は二回目の渡仏で死んでしまうのだが、僕はその勢いでずっと下落合風景を描いていたらどうなっていたのだろうと想像を勝手にしてしまう。 この二人の画家はいわゆる普通の風景を、焦点を変えることで180度回転してしまった。そこに、僕は興味がある。何に、僕が反応しているのかが、僕は知りたい。ニュアンスだけはわかる。まだ実感できず。

2005年10月9日(日)

ふうの展覧会を見に行く。シルバーアクセサリーの新作。
茅ヶ崎。茅ヶ崎の駅は初めて降りたが、結構いい。海の近くの国道沿いって、僕は好きだ。生まれ育った福岡の新宮のような感じ。WANER BROS のモールとか雰囲気醸し出してる。
展覧会は飯島さんという女性の家で行われていた。そこには、マダムが大集合していて、僕もその輪に入ってみて、雑談。かなり面白い。普通の中の非凡。そこが如実に見える。
帰りはふうの家に寄る。戸塚。メイとユメが来ていた。子供と遊びすぎて、果てる。

2005年10月8日(土)

親父が北海道旅行から帰ってきて、鮭グッズ持って遊びに来たので、乾杯。飲みながらも、スライドはまとめる。だいぶできた。
つまみは僕が作る。さばの煮込み。豆腐料理。
しかし、のみ足らず、ハンサム食堂3へ。タイビール飲んで帰る。

2005年10月7日(金)

セバスチャンの家で、来週の京都精華大学講演会用のスライドをまとめる。ドラム缶の家、幻庵、庭の写真、路上のマーケット、デヴィット・ホックニーの写真、つげ義春、熊楠、マルセルデュシャン、とか、本当に無茶苦茶入れてみた。でも面白そう。どうつなげていくかな?学生がドキドキするようなものにしたいです。
H氏からメール。iTUNE STOREであなたは何を買いますか?という質問。テーマは0円ハウスなんで、「貧乏」で。だそうだ。しかも、書籍になるらしい。大丈夫かな?
ローコストハイクオリティというテーマに置き換えて考えてみることに。

2005年10月6日(木)

4,5年ぶりにボーリングに行き、ハッスル。180がでて興奮するが、一緒にやったS氏は200オーバーをたて続きに出し、こちらは意気消沈。
INAX出版から執筆した書籍が送られてくる。

2005年10月5日(水)

SKETCH SHOW「LOOP HALL」聴く。この中でCORNERIUSがREMIXをしている曲があるが、それがいい。10曲目も凄くいいが、この11曲目のREMIXは、いい。
基本的にアコースティックギター一本の音を構成しているのだろうが、それがわからなくなるほど、音は裁断され、再構成されている。その中で、微妙な、指が弦を触る音などが、クローズアップされて、驚きの音になって、返ってくる。
ただのREMIXではなくて、曲だけではなく、音楽家がギターを弾くという行為までREMIXされている。アコースティックギター自体がREMIXされている。

2005年10月4日(火)

雨降り出したときに、家から外に出るときに匂うあのにおいは何だろう。アスファルトからにおい出す。あのこもったにおい。あれを匂うと、どこかを思い出す。小学校か中学校のころのような気がするが、よく思い出せない。夢を見た後に感じる、あの手の届きそうで、届かない、風景のようだ。痒くても届かないあのもどかしさを感じるが、それでもあの匂いを匂うと、うれしくなる。僕は、あと夕方に、もう日が沈むって時に匂うあの匂いも好きだ。
二つともノスタルジックに思い出して感じる快感なのだが、そのノスタルジックの対象がわからないのだ。
しかし、普段私たちも、建物が建て直されたとき、昔あった建物は思い出したくてもなかなか思い出せない。それぐらい確かな記憶は頼りないのだ。しかし、感覚の記憶だけは確かすぎる。いつだって、少しでもかすりデモすれば思い出すのだ。
そのとき僕は「記憶」というものに対して不思議になる。

2005年10月3日(月)

JONI MITCHELL 「DON JUAN'S RECKLESS DAUGHTER」聴く。これは凄い。音楽聴いてこんな不思議になったのは久しぶりだ。シャギーオーティスを聞いたときのような感じ。JONI MITCHELLの中でもこれは異色。こんなアルバムあるなんて知らなかった。基本はフォークなんだが、そんなもの吹き飛んでしまっている。途中、いきなりアフリカンリズムが踊り出し、なんといってもベースがおかしい。
いやあ、今日は気持ちよかった。

2005年10月2日(日)

昼飯はルクール・ピュでランチ。そのまま蜂蜜買って。買える。終日ゆっくり。夜はマレーカレー。サーサイ玉子焼きが旨い。
熊楠「燕石考」の論文についての文章読む。

2005年10月1日(土)

DOINGで練習。最近、自分が忙しいのでなかなか音楽には集中できない。メンバーもそれぞれやりたいこともあり、しばらく練習をストップして、曲作りをすることに。

0円ハウス -Kyohei Sakaguchi-