Montreal Journal

Vol05. オープニング。踊る。

26th Nov,2008

朝起きると今日は晴れ。晴れているときは寒いけど空気が透き通って気持ちいい。とりあえず現場へ向かう。

ステージ前にセットされた0円ハウスの前でマシューと記念撮影。奥には犬の家の写真も貼られている。他との関連がなかなかに無く、しかもよく見たらアート作品は一つも無いのでちょっと場違いな気もする。ちょっと今回は様子が違う。アフリカの時に似ているとも言える。まっ何でもいいんですが。とにかく色んな人と喋って議論してみましょう。

関わっているスタッフは皆アーティストばかり。真ん中にいるフィル・アラーはペットボトルで彫刻をやっているらしく、話が合い、レバノン料理屋で色々と話す。僕はカナダではよく仕事をしているのだが、カナダ人にとっては逆になかなか難しいのだ。これは日本でも一緒だけど。だからどんどん外に出て行かないと活性化していかない。それは大変で草臥れるんだが、やはりやり終えるとちゃんと身にしみてくる。お互いどこでも行こうぜーと、そんな話。

時間が空いたので、すかさず美術館へ行くことに。今日はモントリオール現代美術館。今やっている展覧会は「SYMPATHY FOR THE DEVIL」という巡回展で、その名の通り、ローリングストーンズである。つまり、昨日と同じようにここでも音楽、ロック音楽と、それに影響をうけたアーティストの作品を紹介している。入口にはいきなり、リチャードプリンスが撮ったイーノとデビットバーンのポラロイドの拡大写真。Screamin` Jay HawkinsのFeast of Mau Mauというぶっとんだアルバムジャケットの原画、ファンカデリックも四枚ぐらいあった。あの絵は無茶苦茶デカかった。ピーターサヴィルもあったし、ロバートロンゴのMEN IN THE CITYも初めてみた。でかっ。ジムランビー、ダグラスゴードン、昨日よりもさらに充実してた。Throbbing Gristle のアートワークも良かった。ついつい長居してしまう。

さすがに腹が減り、タイ料理屋に入ってガパオを注文し、麦酒と一緒に食べる。

帰ってきたらもう人が並び始めていた。緊急州がいよいよオープン。

中に入ると皆とにかく食事コーナーに並ぶ並ぶ。

こちらは有名なベジタリアンレストランが出している炊き出し。ここには路上生活者よりもこの店を知っている人たちが駆けつけていた。満員。

ここでは服、帽子、マフラーなどの防寒具がタダで貰える。結構かっこいいのがあったのでついつい僕が欲しくなる。

真ん中では焚き火をやっていてそこに群衆が集まってきている。なんか本当に緊急州である。市長の挨拶の時にはブーイングの嵐だし、その後、個人的に抗議をする人がいたりして、かなり皆かっとばしている。ピエールはそれをステージの上から止めている。

このまま熱くなっていくのかと思われたが、いいタイミングで音楽隊が登場し、ヨーロッパの旅芸人のような音楽、古いイタリアの歌などノリのいい素朴な曲がかかり始め、皆そちらへ興奮は向いていった。で、僕も結局踊りまくっていた。僕はフランス語は全く分からないのに、音楽がかかるとやっぱり体が突き動かされて、まるで皆で放浪して旅しているような気分がした。

僕が踊っていると、この楽団のダンサーのレナウドが新聞で僕の記事を読んで話をしたかったと言って声をかけてくれた。今日も、明日も、新聞やらラジオ局やら色んなメディアで紹介されているらしい。僕はよく分かっていないけど。

その後にも、ウディ・ガスリーに影響を受けたらしいフォークシンガーがギターをかき鳴らしながら熱く歌うので、フォークにもかかわらずやはり踊り出してしまうのであった。 午後10時帰宅。友人のデビッドがバルセロナから帰ってきたらしい。明日の夜会うことにした。

0円ハウス -Kyohei Sakaguchi-