Vancourver Journal 2011

Vol02. 展覧会の準備

18th Apr,2011

 2011年4月18日(月)。結局、昨日は原さんの家で酔っぱらってしまい、そのままソファで寝ていた。でもソファが寝心地が良く、巣のような感覚で、色んな不思議な夢を見ていた。起きて、歩いてすぐのホテルに戻り、またちょっと眠る。その後、部屋で仕事をしばしやる。
 ヨネから熊本の坪井新居の改装写真が送られてくる。かなりいい感じになってきている。これは帰国してからも楽しみだ。
 熊日の連載原稿オッケーとのこと。一安心。その後、零塾のレポートに対して、返信をする。
 東大で講義をしてくれとの依頼が、北海道のトークの日程を決めたのと被っていたので、どうなるか。でも快諾した。
 ロスでの展覧会についてアントニンと連絡。今回、ロサンゼルスには行かないことにした。
 ゆっくりして、展示会場であるセンターAへ。額装された絵を見ながら、どのように壁に展示していくかを考える。大体決まり、テクニシャンのディランに伝える。
 その後は、絵の値段を考える。これは原さんと協議しながら。今回は、絶対に売れる確信がある。
 だからこそ、その後の僕の仕事の展開が非常に重要である。今回の展覧会は、完全に投資をしてもらうための展覧会である。オープニングの時に、僕がこれから実践していきたいHouse at ground ¥0 projectの活動資金になると銘打っている。それはもちろん坪井新居の0円集落計画、被災地もしくは避難先でのモバイルハウスヴィレッジ計画、西日本での市民農園をモバイルハウスヴィレッジに転用する計画。表参道ヒルズでの6月の個展「0円ヴィレッジ計画」、インフラフリーの住宅案などの資金だ。
 ただの募金ではなく、僕が自分の作品を売って、お金を受け取って、それをどのように使うか。それを全て公開して、収支決算、具体的に何にいくら使ったかまでを公開していこうと考えている。で、僕はボランティアという考え方があんまり好きではなく、いつでも仕事でやりたい。で、スタッフもボランティアじゃ駄目だ。僕がお願いする時にはちゃんと給料を払いたい。そのような活動をするために、ドローイングを売ろうと思っている。そううまくいくもんかと思われそうだが、いつでも僕の場合、うまくいく(と勘違いしているだけなのかもしれないが)。明日の夜は、バンクーバー有数のすごいコレクターたち(彼ら全てが僕の作品をコレクションしてくれている)が集って、ジャック&メイヨン夫妻(僕のDig-italシリーズ第一号のコレクター。彼が僕の部屋のベッドの下に眠っていたドローイングを引きずり出し、これが欲しいと言ってから絵を売ることを僕は覚えた)主催で僕の歓迎パーティーをしてくれることになっている。原さんと一緒に、しっかりと今後のプロジェクトのプレゼンしてこようと思っている。
 広告体になってお金をもらうのは本当に嫌だ。自分の可能性に賭けてくれる投資でないと駄目だと思う。それをビジネスではなく、芸術の世界で実現するのだ。僕のコレクターたちは、有名な人間の絵を買いたいというよりも、若く無名の人間で面白いやつを探している人が多い。そこがまた面白い。僕は0円ハウスも好きだが、それと同じくらいコレクターたちとの仕事も楽しい。そういうギャップを僕はギャップと思っていないところがある。どちらも心は一緒だ。つまり、どちらも同じくらい自由な人間たちである。そういえば、それはホリエモンの拝金のブルータスでの書評で書いた。
 その後、オープニングの時にトークショーをするのだが、そのときに通訳をしてくれる日本人のカズホさんと初対面。僕の作品のコンセプト、僕が考えている空間に対する思考について長く説明する。原さんも交えて、ワイン飲みながらブレインストーミング。多摩川文明も上映する予定。モバイルハウスや熊本での坪井新居の話もする。とても楽しみだ。今回はたくさんの人々が来てくれるような予感がしている。
 原さんと坪井新居をセンターAのレジデンスにするという計画について語り合う。坪井新居をカナダの芸術家たちが滞在する場所にする計画を来年の春頃から始めようと思っている。これが実現すれば、すごいことになる。僕の家に、熊本人やらカナダ人やら、上海やソウルにアートを観に来たコレクターたちが坪井新居にも寄ってくれるようになるかもしれない。変なことができそうだ。地元の人からはただ奇異にしか映らないかもしれないけど。だから、ひっそりと変なことを少しずつやっていこうと思っている。ぐふふ。
 坪井新居の計画がカオスだ。バサラブックスには古本屋の分店を出せと言っているし、タイ古式マッサージも予約制でやろうとしている。一階の押し入れは三段ベッドでドミトリーになるし、弟子もそこで暮らす。生活研究所を設立し、モバイルハウスも建てる。家の前の小屋を改装してバーをやろうともしている。つまり、僕が若い頃から夢想していた「九龍城砦のようなホテル」を作りたいという計画を実現しようとしているのだ。そのための資金でもある。とにかくやるぞ。僕は興奮している。

朝、気持ちよくてS.L.A.C.K.のhotcakeを爆音でヘッドホンで聞きながら歩く。

CENTRE Aでの作業。これらは最近の立体読書作品。

これらは雑誌でのカット集。雑誌のカットはそんなにいいギャラではないけど。僕は気にしない。なぜなら、こうやって印刷終了後、僕はコレクターに売るからである。原画を大事にして、それを作品化して、売っていく。これは日本の漫画家やイラストレーターたちはもっと徹底すべきではないかと思っている。僕は彼らの原画の展覧会をこちらで開きたいと思っている。

立体読書シリーズ。

こちらは若い頃、本当に鬱屈していた狂っていた時代の作品。意外と人気があってびっくり。

こちらはバンクーバー在住の韓国人カン・リーの作品。滞在中、彼の家でパーティーを企画してくれている。この人はバンクーバーで一番成功しているアーティストであるJEFF WALLの工房で働いている筆頭。なんでも作ることができる。彼に坪井新居に滞在してもらって、空中回廊を建ててもらおう。これはマスキングテープだけで作った彫刻。

マスキングテープ一つだけしか使っていない笑。

バンクーバー産の手描きDIYブックスを見せてもらう。

若い時バリバリのヒッピーだったフランク・ゲーリーも執筆している!

カズホさんと原さんと打ち合わせ。

展示会場。デカイです。

夜は、近くの洒落た中国BAR。ウォン・カーウェイの花様年華の雰囲気。

カクテルが名物。料理も美味。深夜自転車でホテルまで帰る。

0円ハウス -Kyohei Sakaguchi-