St-Nazaire Journal

Vol04. アブサン

17th Nov,2007

朝のホテルの中庭。朝食はクリストフとカトリーヌとマリオン。カトリーヌは日本に10年くらい住んでいるアーティスト。マリオンは日本好きのアシスタント。そしてこの展覧会は日本展だし、異常に日本志向が強いです。ホントなんでだろう。ちょっとそれはそれで不思議。

歩いていくといきなり変な巨大建造物が見えてくる。それがLe LiFE。ここら辺は軍事施設だけでなく巨大クルージングも有名なようで街みたいな船が泊まっている。

さて今日はきちんと作業をする。ミヒャエルにお願いして鉄を切ってもらう。今回はコレが家の構造になる。

そして昼飯。ガレット屋。コテコテのブルターニュ地方レストランらしい。シードルをみんなで飲む。クリストフ、ヒデさん、カトリーヌ、マリオン、エリックとボクの大所帯。途中でライト・デザイナーのイヴも参加する。凄く優秀な照明デザイナーなのだそうだ。これは楽しみ。なかなかフランス料理屋の中では写真を撮りにくい。それにしてもトークが激しすぎて仕事にならない。今日もこのランチで2時間以上を過ごしてしまう。お酒は普通に飲んでるし。ちょっときちんと終るのか心配になる。が、大丈夫なんだろうなぁ。不思議と仕事は進んでいる。なぜだ。

テクニシャンのロジャー。彼は80年代フランスでパンクバンドをやっていたらしい。レコードも12枚も出しているという。今日は彼にかなり助けてもらった。予定していた仕事はほぼ終了。そして、仕事の途中によく持ってきてくれたのが手に持っているペリエ瓶(大)。この中にはペリエは入っていない。

中身はなんとアブサンである。19世紀に飲み過ぎてみんなおかしくなって禁止されてしまったというアブサン。が、なぜここに?彼らは仕事中にちょくちょく飲んでいる。聞くとテクニシャンの中の一人の手作りなのだそうだ。ハーブ酒。この緑は日本のPernoとかのケミカル緑とは違う。本物の緑だそうだ。こうなったらこっちもしっかり頂くことに。相当旨いよこれは。ちょっと有り得ない展開に。仕事終ってもまたアブサンで乾杯。

今日はヒデさんと二人で疲れたので麦酒が飲みたくなったのでタイ料理屋へ。シンハーとレッドカレー。パナマ帽を被ってフォーマルな格好をしているタイ人がシェフ。美味。ヒデさんと日本での芸術事情の話。僕は全く知らないので参考になる。しかしこうやってアーティストと話すことも全く僕の周りではないので新鮮である。ヒデさんは逆に出版方面に興味を持っていた。シンハー3本飲んで帰る。それにしても食事代が高い。旨いが高い。クリストフの繋がりでブラジルで展示することになったそうだ。やっぱりこういう繋がりがヨーロッパ周辺ではガンガン出来る。いいな。ブラジル。クリストフはさらにドイツにもお前は行けと言っている。こういう流れが出来てくるから常にどんな展覧会に呼ばれても現地で活動する事が一番大事である。作品を送るだけじゃ何にもならん。今度は本が出版されたら、その本をバイリンガルで出すのではなく英語で完全翻訳版を出せるようにうまくやって行きたい、、、などとこっちだと発想は色々飛ぶ。今回の展覧会のメンツが凄いのだがそれに僕を混ぜていることに希望を持つ。やはり名前だけでは選ばない、その姿勢の表れである。そういう人がボスというのがいい。それはどう考えても見習うべきところであるがナカナカ難しい。バンクーバーでやれた事がどんだけ凄い事なのかよく分かってきた。原さん、小倉さんの仕事に再び感銘を受ける。ヨーロッパに来る事で今までのバンクーバー、ナイロビ、日本の出版社、美術館、などのことを逆に客観視できた。そしてそれで考えれば考えるほど日本には相当の可能性を感じながら寒い海沿いを歩きながら帰宅する。

0円ハウス -Kyohei Sakaguchi-