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Journal -坂口恭平の毎日-

2005年7月31日(日)

ラジオの時間見る。ラジオドラマの収録現場が宇宙へと変貌していく、密室大スペクタクルムービー。なんか、こうゆう風に何もないところに空間ができるものをみると僕の脳みそは過剰に反応する。
吉祥寺の家具屋にいく。そのあと買い物。道端で倒れている人を2人も見た。ちょっとヘンな日。
帰ってからライブの練習。一人なのでサンプラーとDELAYでいくことにする。

2005年7月30日(土)

ベルクで一杯。夜、新宿DOINGで練習。
そのあと、けいちゃんから電話があり、場所が狭いから、バンドではできないかもと、うーん。練習してたけど、仕方ないので一人でやってみることにした。

2005年7月29日(金)

杉浦茂を読み返す。なんなんだろ、あの感覚。子供と動物とロボットたちが、日本語でしゃべりあう、大人のほうがいつも頭が悪くて、だまされる、見慣れた町から宇宙までは目と鼻の先で、宇宙人までが平気で日本語しゃべる。食べることしか考えていなくて、最高にピンチのときでもお腹が減っている。そしてみんな呑気で笑っている。

2005年7月28日(木)

現代住居キーワード用の原稿書き上げる。ソーラー0円ハウスについての考察に絞る。

2005年7月27日(水)

「NO」電気グルーヴの曲を今度のライブでカヴァーしようと決定。エレクトロの曲を生バンドでやったら面白そうだ。
栗原はるみの「ごちそうさまがききたくて」読む。この人は、本来的な建築家ではないか?なんてこと考える。最近はとにかく自炊に励む。

2005年7月26日(火)

SUPERPAPERの構想。以前は建築に絞って考えようとしていたが、もっと幅広くとらえて平面を立体化していくことに中心をもっていこう。まずはモノクロ一本でやっていく。
海馬読み終わる。糸井重里氏の話し方は立体的で読む人の脳みその痒いところに手が届く感じで気持ちいい。何もしないで話すだけというスタンスもいい。

2005年7月25日(月)

ライブの段取り楽譜書く。今回はすべてアドリブなしでいこう。全部決める。
そのあと自分自身のダイアグラム製作。大阪のREMOで話をするための企画書としてつくる。今回は、トークとライブを混ぜていこうとおもっている。この前、亮太がぽつり、「なんか講演会なんて面白いのあんまりないから 話の途中に歌ったりしたら?」とか、言っていてこっちは鵜呑みにした。なんかありえないトークライブをしてみたい。
夜、雑誌創刊について思考。このテーマは長らくかかっている。はじめは「立体」という、建築の新しい雑誌をしようとおもっていたのだが、だんだん変化してきて、今は大判の紙一枚で勝負しようと考えている。そして紙のできる可能性を試すようなもっと自由度の高いものをつくろうと。
名前はSUPER PAPERにしよう。
でもオーストラリア人のジェイムスにいったらその名前ダサいと言われ、ちょっと考え直す。でもダサいぐらいがいいかもね。

2005年7月24日(日)

拾ってきた木箱を使って、超小庭を造る。いい出来。骨董通りの店を歩く。そのなかの電気傘ばかり売っている店で止まり、まじまじと眺める。全部昭和初期らしい。昭和初期っていい。なんかわざとらしさや、豪華さがなく、しまっている。どこの国のものかわからないくらいシンプルで。裸電球との相性が抜群。昭和初期、なにか気になる。昨日の陽炎座も大正の終わりの話しだし・・

2005年7月23日(土)

スペクテイター新刊届く。立体読書の出来具合を見る。なかなか。こうやって自分が書いたものが出るのを見るのはいつも新鮮で気持ちいい。今回も、スペクテイター乗っています。バスキアの贋作のアーティストの話が面白い。
地震があった。
金沢にいくので鈴木清順監督の「陽炎座」見る。
夜、新宿でスタジオ練習。ライブの打ち合わせ。初ライブがんばろ。

2005年7月22日(金)

金沢に今度行こうと思っている。そんなんでひっさしぶりに栗本慎一郎「都市は発狂する」を熟読。都市に存在する光と闇の話。ここに金沢が出ている。忍者寺を見てみたい。これは建前上では、将軍様が攻められたときに色々隠れられるように仕掛けがされていることになっているが、寺ごと焼かれたら終わりナわけでそんなはずはない。
しかし、そののぞき窓などは、よく考えてみたらエッチなことには使えそうだと。ふむふむなんか面白そうだな。
これは一丁行ってみましょう。エロ空間に。いやいやこれは真面目な話です。21世紀美術館もあるしね。8月7,8,9日に行ってみることに決定。

2005年7月21日(木)

現代住居キーワードの原稿進まず。止まっている。人にしゃべっているときは簡単だがいざ書くとなると、難しい。当たり前か。
でも日記は簡単なのよねぇ。
夜、ヴィデオ屋に行った帰り、電気屋さんの前を通ったら、なんか移転か閉店かするみたいで、色んなものが店の前に並べられ、「ご自由に持って行ってください。」との張り紙が!ふむふむどれどれ。んっ!?なんとナショナルの70年代の巨大アンプとスピーカーが置いてある。新品同様に綺麗。勿論持って帰る。家に持って帰って、電源入れると、きちんと鳴った。まだまだ色んなものが拾える。モノを拾えるときはアンテナがハッテイル証拠だ。僕の場合。
古いステレオはなんか生きているみたいなんです。1973年のピンボールのマシンみたい。緑色の光が放っている。

2005年7月20日(水)

京都で講演会をやるのに合わせて、大阪でもやろうとしていて、京都精華大学の須川さんが大阪のギャラリーを紹介してくれた。REMOという場所。企画書を練らねば。ありがたい。
メキシコの展覧会の方も、素材は送っているため、きちんとできるらしいが、できることなら現地に行きたい。どうにかしたいが、どうにかなるだろう。9月予定。
少しずついろんなことが有機的に繋がってうごめいてきている。しかも、それぞれが成長しているような感じがする。

2005年7月19日(火)

美帆が遊びにくる。もう5ヶ月。渋谷で専業主婦のように平日買い物。
ベルグで五穀米カレー、ビール。キンコ-ズでフランスに送る用のデータ作成。雑誌用に写真10枚。
後でタカの店にいって一服。タカのベーグルが絶品。

2005年7月18日(月)

ズッコケ三人組の本を買う。ズッコケ心霊学入門。面白い。これは、けいちゃんと今度のスペクテイターでの立体読書第二弾でいこうと思っているみんなが知っている本だ。ズッコケはなんと50巻もでてる。そして、シリーズものそれぞれが微妙に繋がっていてまさに立体読書にうってつけの素材だ。読むと今は深く感じれる。
ついでにバックトゥザフューチャー3のビデオも買った。
夕方、マユミン来訪。ペーパースカイの編集がんばっている様子。編集者はいつも大変そうだ。
夜は亮太が来て、ハンサム食堂3に行きたかったが、あいにく3はやっていなくて1でも2でも今日の気分は違ったので家で飲んだ。

2005年7月17日(日)

浅草のASAHI ART SQUARE(あのウンコビル)で友達のケンケン、ユンキーがライブ。一緒にやっていたのはFLYING RHYTHM。
ユンキーの歌は僕にとってかなり勉強になりました。FLYING RHYTHMの内田さんとは、ちょっと前に日記にも書いたけど下北のスタジオでたまたまあっていたのでびっくり。
最近、「世界は狭いね」じゃあ済まされなくなってきている。
マーリーンもケイスケ、レン君、タイジ、けいちゃんもきてた。この場所はすごくいい。
けいちゃんが今度、スペクテイターのリリースパーティーでライブをやってくれないかとの依頼。待ってました!即返事。よしいよいよMANでの初ライブ。気合入れよう。
ライブ後は近くのアサヒビールカフェみたいなところで今日やったみんなとその他大勢と乾杯。なぜか僕が幹事みたいになってた。

2005年7月16日(土)

ふうの姉ちゃんと、母さん、姉ちゃんの娘、メイとユメが遊びに来る。メイとユメはのっけからハイテンションで、僕の新しい家を飛び走る。家の中が変な間取りをしているので、不思議に見えたのか、とにかく興奮状態に突入している。夕食はコロッケ。メイがまるめた。そのまま別れを惜しんで僕は新宿へ。
DOINGで練習。今日は新しい曲の練習。早くライブがしたい。

2005年7月15日(金)

今日は一日、作曲。一曲「黄緑の犬」という曲、完成。他にも2,3曲イメージようやく出てくる。いいぞ。
やっぱり製作はループし続けなくちゃだめだ。やり続けると、それは等加速度運動を超える。

2005年7月14日(木)

今日はニューヨーク人マーリーンをご招待して、天ぷら食事会。彼女はヴェジタリアンなので、どっか店にも行きにくいので、家で天ぷらした。あとは、きんぴらごぼうに味噌汁。水菜。マーリーンは開いている。なんでも受け入れる。笑顔で。ふうとも気があっている。
無茶苦茶野菜食って。そのまま歩いてタカの店へ。友人タカは最近西荻に自分の家のような店をつくった。
いってみると彼そのもの。店が。ちょっと僕とはまた違う世界にいっている。いいね。ミントティー飲みながら、タカは三線を弾く。マーリーンもリラックスしている。
今日は気持ちいい日になった。

2005年7月13日(水)

先輩から電話があり、彼が勤めている伊東豊雄という建築家の写真集が海外の出版社から出るそうだが、その写真家をいわゆる建築写真家ではなく、写真家にとってもらうという企画らしく、それにエントリーしてみないか?とのお誘い。僕が建築家の作品を撮るとはちょっと想像しにくいが、どう考えても面白そうなので駄目もとでエントリーしてみよう。
なんか、最近依頼されることはある程度僕の持っているものを見て、頼まれることが多く、勇気が湧くというか、興奮する。僕もどうやったらバイトせずに、自分の作業だけで生きていけるかということが、今最も興味が湧いていることなので、基本的に前向きにつきあっているつもり。でももっと面白いことをやりたいという欲求も。
京都精華大学の須川さんからも、今度の講演会で立体物をつくってほしいとの依頼。こうやって多方面からの声に従って、自分の頭の中のイメージが次第に目に見える世界へ降りて来る。

2005年7月12日(火)

INAX出版から現代住居キーワードという本に掲載したいのでと、原稿依頼。原稿用紙3枚半。テーマはホームレス。なので、その名前をやめて「0円ハウス」にしてほしいと頼んで、承諾。
夜、少し書く。最近毎日を自分の作業の時間で埋めたい欲求にすごくかられる。が、そんなに金はないのでバイトしてるわけで。まあ若いから、作業ばっかりじゃなんなので、体もガンガン動かしておいたほうがいいこともあるわけで・・。
風呂の中で「立体」という雑誌を発行するアイデアがようやくまた動き出した。ようやく。いろんなことには時間がかかる。だからもっといろいろ考えたい。

2005年7月11日(月)

昼、京王多摩川。南さんの劇団の団長平塚氏と話す。氏は僕と同じ熊本出身だったが、どこですか?と聞くと、「川尻」だって。まんま僕の過ごした場所でびっくり。そうゆうこともありますね。氏はもう70歳を越えていて、当時の川尻の様子が聞け、大変貴重な時間。
夜は秋刀魚を焼いて、オクラの味噌汁。オクラの味噌汁には未来を感じる。新しい出汁の味。
最近、きちんと生活するようになっているが、そうすると自分の思考がうまくいくかというと、そうでもなくてむしろ生活に充実してしまうところがあり、どうしようかしばし、悩む。
食後、佐藤春夫「のんしゃらん記録」を立体化する。

2005年7月10日(日)

午前中から島忠で材料購入して、食器棚製作。なかなかいいものができた。
その後、親父と母、来訪。みんなでさくらんぼ食べる。僕の小学校のときの夢は果物屋。しかも、もう達成しちゃった。築地就職。
その後亮太も来て、ふうもみんなで甘味や、「甘いっこ」へ。そこのアズキかき氷がうまくて全員唸る。
その後はしっかり焼き鳥や「戎」へ。南口が本店だが、僕は北口の方が勝手に昔の上海っぽくて好き。亮太が糸井重里の本を読んで、興奮していた。脳の使い方、海馬についての本のようだ。話をしていたら僕の体験していることと話は重なってきたのでこっちまで熱くなり、戎の底力を感じる。
思考の発達の仕方は比例ではなくて、等比数列のようであるというのはまさにそうである。ひとつがわかれば、十個ぐらい、いやもっとわかる。そうゆうふうにして思考は空間化されていく。時間の流れとはまるで違うのだ。大事なのは行動し、経験すること。もちろんウィズ思考で。そうなのよね。やっぱり最後は。風呂に入ったら気持ちイイ!とわかっているんだから、疲れて眠くても、きちんと沸かして入ったほうがいい。
ヒントは日常の中に。
亮太にレイハラカミの新譜借りる。ジャケットが凄い。ケミカルブラザーズのPVの衝動と似たものを感じる。
ここにも日常を非日常の目で見ることのコツが隠されている。

2005年7月9日(土)

夕方から新宿DOINGで練習。まだ曲ができていないのであまりはかどらず。しかし、今日は中華料理屋での二次会からはかどる。
上山君は最近毎日映画を見ているらしく、しかも、シネマハイによって違う映画なのにいろいろ繋がって感じれてきているそうでたのしそうだった。しかも、それをピアノで表現したいといっている。恐れ入ります。知覚の発達してる人と話すとなんでこうも頭が気持ちよくなるのだろう。交通渋滞を交通整理されているようで自動的で動かされていい。
僕たちはそうやって映画の話をしながら音楽の事を話していた。もうこうなったらCDを出すんじゃなくて、全曲DVDで発表するというのはどうだ!というところにも少し行った。それは面白いかもしれない。

2005年7月8日(金)

最近家が気持ちよすぎて、あんまり外に出る気がしない。さらに音楽も聴こうという気でもなく、読書が多め。
ロクスソルスを立体読書化。でもなかなか難しい。
やっぱり佐藤春夫もやっておこう。
もうすぐスペクテイターが発売するらしい。けいちゃんから入稿が終了して、立体読書のページなかなかよかったとの電話。安心する。
あさこから電話。彼女がやっているネット上のラジオに出ないかとのお誘い。面白そうなのでやってみよう。
ラジオにも興味を持っている。会話を記録しているという点で。

2005年7月7日(木)

また佐藤春夫「のんしゃらん記録」、「西班牙犬の家」を読む。もうこの人は本当に空間のひとだ。しかも、のんしゃらんなんてSF空間の話である。テリーギリアム。
西班牙犬の家はもうそのまんま一軒の家の説明。
しかも、佐藤春夫も自分の家はなにか凄い洋館だったらしい。熱帯の植物が生え、鷲まで飼っていたらしく、さらにいろんな小物を滝口修造みたいにマニアックにコレクションしていたらしい。うーん気になる。その家が。

2005年7月6日(水)

網野善彦の「日本の歴史をよみかえす」読み終わる。日本の古来からある曖昧で複雑な思考について直感をもっていたが、網野さんはそれを実例をきちんとあげて説明している。その調べ方はあまりにもきちんとしすぎてあぶない。しかも、読み手はその危なさにしっかり着いていこうとしてしまう。非人といわれるひとたちは、南北朝を境にして差別されはじめるが、それまでは不思議なポジションにいたらしい。「人に非ず」なわけである。 悪くも良くもとれる。彼らは、周りの人も、動物の処理など彼らしかできない仕事を持つ人としてみとめられていたようだ。しかも、その身分は天皇の直属の官職として生まれてきたものらしい。遊女などもその部類に入る。農業を生業としていない人たちが、しっかり生きていける制度が確立していた。 話はややこしいが、僕が感じたのは、その昔は日本では今よりも複雑な思考ができていたのではないか?ということだ。 単純に河原に住んでいる人を見ても、遊女を見ても、それを下に見るのではなく、まったく別の生き方をしている人間としてきちんと認識できていた。
いわゆる自分のものさしだけで世界を見るのではなく、それだけでわからない世界に対しても許容できるだけの思考の「空き」があったのではないか? まあ空想ではあるが。
しかし、僕はそれが日本人の空間に対する他の国の人間との認識の違いに何らかの形で結びつくのではないかと推測します。
自分の世界に存在しないものをシャットアウトせず、インプットできるカラのファイルをもっていたのではないか。
そうすることが、所謂欧米で発生した芸術というものが日本ではそう呼ばれずに独自に発達していったとこまで勝手に深読みする。

2005年7月5日(火)

佐藤春夫「美しき町」読み終わる。うーん。いい。これは、ある金持ちが隅田川沿いに町をつくるという妄想を抱き、その友人と老建築師が巻き込まれ、模型を作りながら、魅了され、入り込んでいく・・という話。
しかし、江戸川乱歩にせよレーモンルーセルにせよ、この佐藤春夫もなんでこうまで空間を紙上に作り出したがるのか?そしてそれに僕がどうして引き寄せられるのでしょう。
頭を単純化すればするほど、複雑なものに惹かれていく。

2005年7月4日(月)

朝から作曲。ピアノの前に立っているが、なかなか思い浮かばず苦戦。しかし、僕はこの何も浮かばない時が好きといえば嘘になるが、悪くない気分だ。このおかげで何かを知覚できたときの感覚をきちんと把握することができるわけよ。その後、適当に新居の片付け。だいぶ部屋にも慣れてきた。母が妹と遊びに来る。妹のお腹の中にはベイビー。ここが気に入っているみたいで、母寝てた。
夢飯でマレーカレー。うまい。
やる気はあるが、作業がはかどらない。こうゆう時は信号の送り方の間違いであることが多い。今の頭の動き方は直線的で、よくない。もっと空間を作らないと。頭の中に。

2005年7月3日(日)

結婚式の二次会のハシゴ。やりすぎた。同級生の今北。そしてふうの友人。でも冠婚葬祭はなんか気になる。

2005年7月2日(土)

網野善彦「日本の歴史をよみかえす」読み始める。日本の、遊女や非人、寺社や市場についての考察が凄い。きちんと勉強勉強。いくつになっても勉強。

2005年7月1日(金)

母来訪。新しい家を気に入っている様子で昼寝している。

0円ハウス -Kyohei Sakaguchi-