4次元ガーデン

12 ウィンドウガーデン

27.October,2006

今までだったらこういう庭は「ふーん」といって通り過ぎていただろう。
しかし、4次元ガーデンの視点に立てば、どんな庭にも何かを見つけることができる。
4次元ガーデンは「俳句」に似ているようにも思えてきた。
庭を味わうのである。吟味して。

よくあるような、日本特有の新築の住宅。
壁はタイル貼り風。柵に設置されているのはちょっと嘘くさい植木鉢。
中に植えられているのも何だか、花っぽい花ばっかりだ。
んー、なんだかなーと思っていると、日本の棒が建っている。
その上の方を見てみると、風車だ。
しかも、材料はどうやらこれはペットボトルのようだ。
なるほど、と思いながら前を向くと、窓がある。
ちょっと後ろに引いて、全体を見るとだんだん分かってきた。

この手前の嘘くさい花や、ペットボトルの風車は脇役である。
その向こうの、、窓がこの家の「庭」なのである。

窓には、ぬいぐるみがずらっと並んでいる。
チワワ、そして次にプーさん、他にも熊のちがうキャラクターも。
なんだかこれはガラス張りの舞台のようだ。
舞台の手前には舞台美術として花が飾られ、風車がまわっている。
舞台にはキチンと緞帳の幕まである。
その舞台には、ぬいぐるみちゃん達が勢揃いしているのだ。
と、思っていたがこれはもしかしたら逆ではないか。
この窓は道路に面している。そのため通行人からの視線は避けられない。
そのためカーテンをかけることにした。
日が入るようにレースのカーテンにしよう。
あっ、あったあった。このカーテンにしよう。
しかし、である。このカーテンが少し短い。これでは容易に中が見られてしまう。
こまった住人は家にあった気に入っているぬいぐるみを並べてみた。
もしかしたら別に好きでもないのかもしれない。でもいいのだ。 目的は隠すことだ。
チワワを並べてみた。しかし、高さが低い。これでは隠していることにはならない。

だからコンクリートブロックをチワワの下に置いてみた。うん、ばっちり。

と、消極的な原因からこの庭ははじまったのではないか。
しかし、4次元ガーデンはしばしばこのようにマイナスな要因から発展していくことが多い。
むしろそればかりとも言える。
ここでも、プライバシーにとって不利だった窓をむしろ見られる場所に変えることで、
逆にその中までは見られないということに成功している。
いつもまにか短いカーテンは、舞台上のチワワ達を映えさせる幕となったのでした。

0円ハウス -Kyohei Sakaguchi-